Archives for the Month of 12月, 2006

2006年HP・ブログのまとめ

2006年は自分にとってどんな1年だったのか。振り返るのは今日くらいなので、思い当たるところを考えてみようと思います。4月に銀座のギャラリーせいほうで個展をしました。「陶彫〜発掘シリーズ〜」という題をつけました。それに伴 […]

「おわら」の胡弓

中国に二胡という楽器があります。二弦を弓で弾くと物悲しい響きが出る独特な楽器で、この二胡も別称で胡弓と言います。ところが今年の秋に行った富山県八尾の「おわら風の盆」で奏でていた胡弓は中国の二胡とは違う楽器に見えました。家 […]

休庁期間の作業

昨日が官庁御用納めの日なので、今日から休庁期間に入りました。自分は公務員なので正月休みです。家の掃除や片付けをしてのんびり過ごしたいところですが、来月のグループ展搬入や4月の個展のことを考えるとのんびりできず、間を惜しん […]

一気呵成に作れない魅力

作品を凄い集中力をもって一気呵成に作り上げられるならば、それに優るものはないと思っています。後先考えず制作に没頭し、時間を忘れて心底打ち込めば作品は輝きだします。創作行為は精神の産物なので、表現したい意思が強ければ、技巧 […]

砂のマチエール

新作「構築〜包囲〜」の骨子ができたところで、厚板に砂を硬化剤で貼る作業に移っています。砂を厚く塗ると厚板の重量が増して柱で支えるのが厳しくなるので、砂は薄めに板に擦りつけるように塗ります。ただ平たくしないように気をつけて […]

「構築〜包囲〜」組み立て

職場が休みに入り、夏休みの時のように朝から夕方まで制作に没頭できる毎日を送っています。時間があるという幸せを感じながら制作は佳境に入りました。夏から取り組んだ30本の柱は彫り上がりました。ナンバー代わりの印も仕上がり、和 […]

ルーマニア・クリスマス体験

ヨーロッパに住むとキリスト教の存在に圧倒されます。クリスマスの礼拝もそのひとつですが、ヨーロッパの宗教世界の原形が残っているかのような素朴な精神性をもっていたのがルーマニアで迎えたクリスマスでした。まだ共産圏だった頃のこ […]

オーストリア・クリスマス体験

ウィーンで迎えたクリスマスは地味ながら、しっとりとした落ち着いたクリスマスでした。イエス・キリストの誕生を祝う神聖な日だからこそ、家族で団欒をして心安らかに過ごすというものでした。日本のようにケーキのセールもなく、ショッ […]

プッフスバウム通り

10区のプッフスバウム通りというのがウィーンで長く住んだ場所でした。このあたりは外人労働者が多く住んでいましたが、治安は悪い方ではありませんでした。地下鉄Uー1の終点であるロイマン広場から何本か延びた通りのひとつがプッフ […]

下宿の引越し

ベートーベンは生涯50数回も引越ししたと言われていますが、それほどではないにしろ自分もヨーロッパでは数回の引越しを経験しています。初めはドイツのバイエルンにある全寮制の語学学校、次に語学学校のクラスメートでウィーンまで同 […]

空間演出という概念

立体作品は作られた物質だけでなく、周囲の空間をも作っているという概念をもったのは海外での生活体験からでした。日本の大学で彫刻を学んでいた頃は、彫刻そのものの構造や量感を捉えるのが精一杯で、その彫刻が置かれる場所や置かれた […]

平織り絨毯のインテリア

自分が行く前からウィーンで暮らしていた留学生仲間が、古くなった住居の壁に平織りの絨毯を張り巡らして独特な空間を作っていました。平織りは幾何模様があったり、動物や人物が象徴的に単純化されていたりして、その模様と色彩はまるで […]

フローマルクト

所謂「蚤の市」で、日本でも最近はあちこちでこうしたフリーマーケットが開かれています。その先駆けとも言うべきヨーロッパのマーケットはかなり歴史があって、自分の留学生時代には盛んに行われていました。ウィーンは毎週土曜日の午前 […]

アールヌーボー様式

ドイツ語ではユーゲントステイールと言っていました。20世紀初頭に流行した美術様式で、建築から工芸品にいたるまで、それとわかるフォルムをしています。植物の葉・茎や蔦の曲線をデザインに取り入れて、自然に独特な解釈を加えて優美 […]

佐藤和美展によせて

自分と同年代で、茨城県に工房を構えて作陶を続けている佐藤和美さんの個展に行ってきました。神奈川県藤沢から江ノ電に乗って、ひと駅目に目指すギャラリーがありました。閑静な住宅の中にある陶器専門の店でした。そこには土肌を生かし […]

故・日和崎尊夫さんの思い出

「柄澤齊展」で購入した図録に日和崎さんのことが書かれていました。柄澤さんは日和崎さんの個展を見て、それがきっかけで木口木版を始めたことを知りました。30年も前の自分の大学時代に、学内の版画展に日和崎さんがひょっこり現れて […]

柄澤齊展

鎌倉にある県立近代美術館で「柄澤齊展」を開催しています。木口木版の緻密な表現で知られる作家ですが、初めてまとまった作品を見ることができました。あくまで木口木版が軸になって、モノタイプやコラージュに展開していく作風と理解し […]

プロレタリア・アート

1980年代にウィーンに住んでいたので、まだソビエト連邦を中心とする共産圏が隣国にありました。ハンガリーや旧チェコスロバキアに出かけていくと、広場にはよく労働者や兵士を賛美する具象彫刻のモニュメントが置かれていました。腕 […]

アールデコ様式

自分の作品が具象傾向から抽象化していく過程で、歯車という具体的なイメージを使ったのは、あるいは本当の意味で抽象化と呼べるかどうかわかりません。ウィーンではアールヌーボーやアールデコ様式がよく目につきました。歯車はアールデ […]

歯車の構成

凹凸のついた歯車をよく自分のモチーフに使います。螺旋や渦巻きと違い、若い頃から自分の作品に繰り返し出てくる要素です。具象の作品から出発して、人体を離れる契機になったのが歯車の使用でした。歯車は具象としても扱えるし、都市的 […]

クレーの絵本

パウル.クレーという画家は私の頭の中にちょこちょこ顔を出して、造形する心をくすぐってくれたり、気持ちを軽くしてくれます。「クレーの絵本」という小さな本は私の大好きな書物のひとつです。谷川俊太郎の詩がついていて、絵のイメー […]

渦巻くカタチ

先日、螺旋の造形をブログに書きましたが、螺旋を平面にしたものが渦巻きで、当然渦巻きも造形要素としては大好きです。中心に向かって巻き込まれていく、また中心からグルグルと外へ広がるカタチは、一点から展開する作品を作ろうとした […]

エッシャーの魔術

作業場に来ていた美大生が課題をそっちのけにして、エッシャーの画集を見入っていました。「この人が生きて傍にいたら惚れちゃう」と彼女は言っていました。それほど心を虜にする表現力を持った画家です。エッシャーは遠近法や幾何形体の […]

彫刻にむけたコトバ

真白い大理石から・彫りだされてくるきみ・先ず胸筋が初めての風を受け・頬には荒々しいのみの跡。谷川俊太郎の詩集「空に小鳥がいなくなった日」からの「裸」という詩の一節です。高校3年生の時、これを読んで彫刻っていいなと思いまし […]

早稲田小劇場

小劇場が盛り上がりを見せていた頃、赤テントや黒テントだけではなく早稲田小劇場にも足を運びました。まだ本拠地が早稲田にあった頃の小劇場です。鈴木忠志の演出、白石加代子主演の芝居はとてつもなく面白く、あっという間に時間が過ぎ […]

渋谷の天井桟敷

寺山修司という詩人を知ったのは大学時代です。高校の時から詩を折に触れて読んでいた自分は、特異な世界を持つこの詩人を敬遠していたところがありました。初めは前衛演劇から興味を持ちました。当時の渋谷に奇怪な装飾が施された演劇実 […]

赤テントに通った日々

大学生の頃、何となく怪しい雰囲気に誘われて、新宿花園神社に忽然と現れた赤テントに通いました。初めて観た時から、唐十郎率いる状況劇場で繰り広げられるドラマに魅了されていました。矢継ぎ早に発せられる台詞と不条理な展開。何かや […]

螺旋の造形

螺旋状に上昇するカタチには成長していくイメージがあります。植物が螺旋を描いてねじれながら空に向かっていく有様は、自然界の強靭な力を感じさせます。昨日は螺旋階段をのぼっていく詩の一節が頭に浮かんだのでブログに書きましたが、 […]

螺旋階段をのぼる

螺旋階段をのぼる・石壁にかこまれた・暗い・けわしい・石の階段をのぼる・小さなランプをぶら下げながら。自分が高校時代に慣れ親しんだ詩人黒田三郎の詩の一節です。何故かこの詩が情景として頭に残り、何かに向かってコツコツ始めたと […]

材料買出しの楽しみ

作品に使う材料を買出しに行くのはとても楽しくてウキウキします。店を回るうち作品と直接関係ないものまでチェックします。そういえばあの店にこんなものがあったっけと思い出すのがよいのです。陶土は栃木県益子に、木材は東京の新木場 […]

師が走る12月

広場の模型作りの課題に取り組んでいる美大生から、材料の相談をメールで受けました。一緒に考えようと答えました。自分の制作以外で頭をめぐらせることは楽しみのひとつです。その美大生には自分が持っている様々な資料を与えます。こう […]