Archives for the Month of 11月, 2006

色彩を考える

たとえば奈良の金剛力士像は巨大な木彫ですが、彩色されていたようで所々色が残っています。完成当時は華麗な色彩が施されていたことでしょう。自分の作品では木彫の部分は色をつけません。自然な木目が美しいので、そのまま残すつもりで […]

草月会館の「天国」

重森三玲の庭園に劣らず、自分が最も好きな庭園空間は東京の草月会館にあります。玄関前にすっきりと立つ黒味影石、それに続く入り口吹き抜けのロビーには大小の自然石を配置した室内庭園が広がっています。「天国」と題されたイサム・ノ […]

重森三玲の空間感覚

先月、「重森三玲の庭」展を見てきましたが、自然石を立てたり横にしたりして構成する庭園のデザインが、時々ふっと湧いて脳裏をよぎると楽しい気持ちになります。自然にある石、自然にある樹木、自然にある水を取り込んで空間を作るのが […]

4月の個展に向けて

先日「ギャラリーせいほう」に行って、来年4月2日(月)からの個展の確認を画廊主としてきました。2月初めの横浜市民ギャラリーに出す作品は現在進行中の「構築〜包囲〜」。4月に出す作品はここ数年で作った作品を選んで、改めて構成 […]

木彫の荒彫りから仕上げへ

自作の「構築〜包囲〜」に組み合わせる柱30本の荒彫りが出来ました。さて、どこまでこの彫り跡を残すか、サクッとした感じが木彫の心地よさと思うので、ここが考えどころです。先日中島さんの個展に行って完璧に磨き上げられた石彫作品 […]

加藤正展によせて

昨日の中島さんの個展に続き、もう一人大学の先輩が銀座で個展をしています。加藤さんは中島さんや池田先生のような師匠としての存在ではなく、年齢も近いので、むしろ気が通じ合った先輩といったところでしょうか。自分のウィーン滞在中 […]

中島修展によせて

自分が4月に個展をした銀座の「ギャラリーせいほう」で、中島さんが個展を開催しています。自分が滞欧中にお世話になった中島さんは大学の先輩にあたり、当時彫刻の手ほどきをしてくださった池田宗弘先生と同期です。池田先生は真鍮を素 […]

陶壁の無作為を装う作為

風雨にさらされた土壁の美しさを昨日のブログに書きました。これが自分の造形要素として取り入れられないかを以前から考え始め、実際に陶板を使って自然がもたらせた風合いを出そうと苦心したことがあります。いかに嫌味なく自然に見せる […]

土壁の表情

昨日の落ち葉のカタチに続いて、自然が作り出すもので注目してしまうのは壁です。本来壁は人が作ったものですが、雨にうたれ風にふかれるうちに崩れたり朽ち果てたりしていきます。その過程に大変美しく見える時があります。とくに土壁は […]

落ち葉のカタチ

仕事に追われていると、なかなか周囲が見えず心に余裕が持てません。ましてや車で職場まで通勤しているとなおさらです。職場でもコンピュータに向かっていたりして、外の空気や光を感じることなく日々が過ぎてしまいます。このブログに2 […]

ジンギスカン料理

羊の肉は苦手です、と言うか苦手になってしまいました。かなり昔ウィーンの住宅を引き払った時に、エーゲ海沿岸に展開したギリシャ遺跡を見に3ヶ月余りトルコやギリシャを旅したことがあります。そのトルコで食傷するくらい羊肉を食べ、 […]

能楽堂でのワークショップ

オペラの話題が続いたので今日の午後体験したことを書きます。職場の近くに久良岐能舞台があります。もともとは東京芸大にあった能舞台をある人が譲り受け、さらに横浜市に寄贈されたものだそうで、舞台正面の松の絵は日本画家の平福百穂 […]

シュナイダーシームセンの舞台

ギュンター.シュナイダーシームセンは様々なオペラの舞台デザインを手がけた人です。具象的な作風でしたが、スケールが大きく遠近法を巧みに用いた迫力ある舞台でした。カラヤン指揮による壮大なオペラにシュナイダーシームセンの舞台が […]

オペラ盛況の中で

ウィーン国立歌劇場の立ち見席で何度もオペラを観るうち、歌唱の巧みさがわかってきました。観客は正直なもので、実力派歌手が出演するオペラは立ち見席の窓口に長い列ができました。歌劇場を一回り以上の長蛇の列が取り囲んでいる日もあ […]

ワイル「三文オペラ」

初冬の季節になると情緒豊かなウィーンの街並みが寒々と夕暮れていく情景が目に浮かびます。オペラが上演されるのは国立歌劇場ばかりではなく、フォルクスオパーやもっと小さな劇場でも雰囲気に応じた演目がかかります。「三文オペラ」は […]

ムソルグスキー「ボリス.ゴドノフ」

まるでロシアのリアリズム絵画を見ているような舞台。群集の合唱に圧倒され、クレムリン宮殿の豪華な広間の隅々にもリアルを追求した大道具や小道具が置かれ、まさにロシアの歴史に遭遇しているような錯覚に陥ります。オペラ「ボリス.ゴ […]

ビゼー「カルメン」

有名な曲が散りばめられた「カルメン」はオペラ入門としては最高のものだと思います。胸躍るシーンがあると思えば、切ない叙情的なシーンや怪しい人々の楽しく痛快なシーンもあって娯楽に徹した優れたオペラです。いつ観てもあっという間 […]

オペラ初体験.Rシュトラウス

ウィーンで初めて観たオペラはR.シュトラウスの「エレクトラ」でした。下調べもせず、音楽留学生から立ち見席のことを聞いて、まず飛び込んだ劇場でやっていた演目が「エレクトラ」。真っ暗な舞台。登場人物も少なく、内容もよくわから […]

モーツアルト「魔笛」

音楽評論を読むとこの「魔笛」の筋書きには、当時モーツアルトが関わった秘密結社なる存在もあるのですが、そんなことを気にせずに観た「魔笛」は音楽や舞台装置、衣裳のデザインがとても楽しく、おそらく5年間のウィーン滞在生活のうち […]

作業場に来るゲスト

心理学でいう社会的促進で、時々誰かと一緒に場所を共有して制作するのは活性化していいものです。カフェや図書館で勉強すると集中力が上がる現象と同じです。周囲に人がいた方が、一人で何かをするより効率よく仕事ができるのです。自分 […]

ウィーン国立歌劇場

ウィーンに住んでクラシック音楽に接しないのは愚の骨頂のような気がしてコンサートにはよく出かけました。幸い立ち見(というか立ち聴き)があって安い料金で一流の音楽が堪能出来ました。爪に火をともす生活をしている留学生には随分助 […]

クラシック音楽の都

美術的興味からウィーンに暮らし始めたのですが、ここが世界的に有名な音楽の都であることはよく知っていました。美術留学生は一握り、ところが音楽留学生は音大に行くと、ここは日本じゃないかと思えるほどたくさんいました。観光ガイド […]

クラシック音楽との出会い

音楽家の家系か、親が特別な趣味を持っていない限り、クラシック音楽が身近にあることはありません。職人家庭に育った私は歌謡曲や浪花節の方が身近でした。妹が音大に進んだのですが、それでもクラシック音楽を身近に感じたことはありま […]

ピュアな朝の時間

昨日、制作のバイオリズムについてのブログを書き終えた時、ふと新聞に目がとまりました。「朝型のヒト増加中」(朝日新聞)という記事です。「朝が注目されている(略)朝をどのように過ごすか(略)成熟社会の一個人にとって大きな関心 […]

制作のバイオリズム

加齢のせいとは思いたくないのですが、丸一日使える制作日は朝早くから作業場に出かけ、9時頃になると制作効率が上がってきます。若い時は朝眠くて、午後にならなければ冴えることがありませんでした。バイオリズムがあるとすれば、今は […]

道具・工具の管理

亡祖父は宮大工でいつも鉋や鋸は木製の道具箱に入れてありました。亡父は造園職人で祖父同様に刈り込み鋏などは袋にしまっていました。一日の仕事が終わると道具を片付ける、昼休みのちょっとした時間に鋏を研いだり、鋸の目立てをやる、 […]

なぜ制作を続けるのか

なぜ制作を続けるのか、これはゴールが見えないレースのようなものです。作品が完成してギャラリーに展示してみたら、後悔と納得の危うい関係が始まり、見れば見るほど納得できず後悔に苛まれます。これで満足ということがあれば次の制作 […]

なぜ制作をするのか

なぜ制作をするのか、たまに頭をよぎる素朴な疑問です。こんなもの作ってどうするの?とギャラリーに来た友人から真顔で聞かれると返答に窮します。美術作品は認められなければ巨大なゴミで、認められれば文化的な役割を担う存在になりま […]

心の満足・身体の疲労

労働していれば休日が楽しみです。身体をゆっくり休め、ボーと過ごす一日があってもよいと思います。でも自分のことを振り返ると、ゆっくり休んでいる日がありません。決して先を急いでいるわけではなく何かに急き立てられていることもあ […]

11月は秋も深まり

11月は秋も深まり、制作には絶好の季節となります。空気が乾燥して寒くなると、鑿を振るったり木を組み合わせたりする力仕事には汗が滴ることが少なく作業効率が上がります。美術の秋というのは観賞に限らず、制作者にとっても最適な季 […]