アールデコ様式
2006年 12月 13日 水曜日
自分の作品が具象傾向から抽象化していく過程で、歯車という具体的なイメージを使ったのは、あるいは本当の意味で抽象化と呼べるかどうかわかりません。ウィーンではアールヌーボーやアールデコ様式がよく目につきました。歯車はアールデコ様式を象徴するカタチのひとつであるとも言えます。アールデコは20世紀初頭にあって、工業化が進んだことで製品の量産が可能になり、それにより庶民生活が豊かになっていく時代に生まれた様式で、直線や円形を多用しているところに特徴があります。そうした時代のものをウィーンでは日常の中に発見できました。初期のものはウィーン工芸美術館に展示してありました。アールデコはモダニズムの旗頭となっていましたが、冷たい造形でもあり、長く人々に愛されるものではなかったように思います。世界が大きな戦争に向かう前の、ほんの一瞬訪れた洒落たモダンな時代とともにアールデコは滅んでいったのかもしれません。
関連する投稿
- 「描かれた空想美術館」を読んで 昨日は何故ホルスト・ヤンセン展の回想を書いたかと言えば、今読んでいる種村季弘著「断片からの世界」にヤンセンの評論が掲載されていて、20数年前にウィーンで知った卓越した素描画家の様々な面を知ることがで […]
- 「神と人を求めた芸術家」 表題はドイツの近代彫刻家エルンスト・バルラハのことを取り上げた「バルラハ~神と人を求めた芸術家~」(小塩節著 […]
- ドイツ映画「メトロポリス」 フリッツ・ラング監督の残した近未来映画で、現在でもレンタルビデオショップにあります。昨日のブログに書いた「カリガリ博士の箱」と同じドイツ表現主義を代表する映像作品です。20数年前に滞在したウィーンの […]
- アールヌーボー様式 ドイツ語ではユーゲントステイールと言っていました。20世紀初頭に流行した美術様式で、建築から工芸品にいたるまで、それとわかるフォルムをしています。植物の葉・茎や蔦の曲線をデザインに取り入れて、自然に […]
- 歯車の構成 凹凸のついた歯車をよく自分のモチーフに使います。螺旋や渦巻きと違い、若い頃から自分の作品に繰り返し出てくる要素です。具象の作品から出発して、人体を離れる契機になったのが歯車の使用でした。歯車は具象と […]
Tags: ウィーン, カタチ, 作品, 展覧会, 書籍, 留学
The entry 'アールデコ様式' was posted
on 12月 13th, 2006
and last modified on 1月 8th, 2010 and is filed under note.
You can follow any responses to this entry through the RSS 2.0 feed.
Both comments and pings are currently closed.