謎めいたタイトル

横須賀美術館の「若林奮展」を見て、その彫刻のタイトルに注目しました。「所有・雰囲気・振動」とか「長い山脈に付属する振動」とか作者にしかわからない意味を込めてタイトルにしています。造語の場合は造語に至った思考を説明すれば、不可解なタイトルが多少理解できると思います。造形はコトバを従属させるものではなく、コトバと併行して形作られることもあると考えます。タイトルにはそんな謎解きがあってもよいと思うのです。作家によっては詩のようなタイトルをつける人がいます。タイトルを集めると散文詩のようになって、造形作品の他に作品がもうひとつあるような具合です。美術は時に詩的であったり、また哲学的であったりするので、こうした遊ぶ?要素が出来て、それはそれで楽しいものです。謎めいたタイトルにあれこれ思いを巡らせるのも一興かなと思います。             Yutaka Aihara.com

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