重森三玲の空間感覚

先月、「重森三玲の庭」展を見てきましたが、自然石を立てたり横にしたりして構成する庭園のデザインが、時々ふっと湧いて脳裏をよぎると楽しい気持ちになります。自然にある石、自然にある樹木、自然にある水を取り込んで空間を作るのが庭園です。自分のように木を彫ったりせず、自然の状態で見せる空間の感覚を持ちたいと常々思っています。隅から隅まで作ってしまう自分の表現がいつかパターン化して退屈になるのを予感しています。中島修さんの石彫でも石を割ったままの状態と磨きこんだ幾何形体を対比して見せた作品がありました。作庭家が自然を自身の大きな作為の中に取り込んで、ありのままのカタチをまとめ上げていく力は素晴らしいと感じます。重森三玲の個展図録を眺めながら、自分の作品を振り返ってみたひと時でした。

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