「変身」読後感
2014年 5月 26日 月曜日
「変身」(カフカ著 高橋義孝訳 新潮社)を読み終えました。2泊3日の出張に携帯した文庫本ですが、往復新幹線の車中で読み終えることが出来ました。中学生の時に初めて手に取った文庫本でしたが、主人公が遭遇した不思議な状況に帰結感がないまま終わる本書に納得できず、当然カフカが生きた時代背景もわからず、理解が覚束ないまま忘れかけていたのでした。40数年を経た現在の自分の視点は、カフカの自白とも思える内省に他の登場人物の心理が交差して、短いながら凝縮した世界に惹かれました。中学生時代に遡ると、こんな状況にあって何故家族が騒ぎ立てないのか、マスコミや研究者が突如虫になった男の原因解明に努めないのか、それどころか主人公を隠蔽して家族が通常の日常生活を送っていられる不条理に悩んでしまいました。単純でない謎解きが落としていった波紋が広がり、やがて自分の専門となる美術の方面から表現主義の興った時代状況を把握し、おまけに20代後半で滞欧生活を送って、初めて絡んだ紐が解けていくように感じました。ただ、変身したものが虫であったという意図、その究極のところが今でもわかりませんが、世情の不安からくるギクシャクした心理表現は十分に伝わりました。
関連する投稿
- 週末 2月を振り返って… 今日で2月が終わります。週末で朝から工房に籠りましたが、今日の制作状況と併せて今月を振り返ってみたいと思います。今日は陶彫成形を1点、彫り込み加飾も行いました。晴天で梅の花が青空に映える一日でしたが […]
- 外出自粛の4月を振り返る 今日で4月が終わります。今月は新型コロナウイルス感染拡大を防ぐため、首都圏の外出自粛から全国的な規模による緊急事態宣言に移行した1ヶ月になりました。職場も在宅勤務が始まり、年度初めに恒例として行われ […]
- 読書癖で保つ外出自粛 職場勤務と自宅勤務を正副管理職で交互にやっている生活が続いています。先行きが見えない不安を抱える中で、こんな事態は社会人になって初めてのことですが、海外での留学を含め長い学生生活を送ってきた私は、暇 […]
- 自宅のリフォームが大詰め 自分の生涯としては一大事となる自宅のリフォーム施工が大詰めを迎えています。まず1階の和室を洋室に変えて、ダイニングと一体化した空間にしました。和室の半分を収納庫にして、そこに家内の邦楽器を収める棚と […]
- 書籍の整理 昨日から在宅勤務で、自宅にある書籍の整理を行いました。自宅のリフォームでリビングの壁一面に書棚を作ってもらったために、数十年も床に積んであった大量の書籍を新しい書棚に収めました。公務員になった頃に手 […]
Tags: 日常生活, 書籍
The entry '「変身」読後感' was posted
on 5月 26th, 2014
and last modified on 5月 27th, 2014 and is filed under note.
You can follow any responses to this entry through the RSS 2.0 feed.
Both comments and pings are currently closed.