「言語都市・ベルリン」読後感

「言語都市・ベルリン」(和田博文・真銅正宏・西村将洋・宮内淳子・和田佳子共著 藤原書店)を読み終えました。「1861ー1945」という副題が示す通り、本書は19世紀から20世紀の第二次世界大戦が終わるまでのドイツの首都ベルリンにおける実情を伝えています。描かれる大都市の変遷は多義にわたり、政治・経済・文化を網羅していますが、日本人留学生の関わりが大きなテーマになっています。大勢の留学生がこの時代にベルリンにいたという事実に驚きました。ヒトラー政権が台頭するベルリンの様子を、同盟国だった日本人が内部から描いていること、日本人もそれぞれの分野で異なった見解をもっているものの、逼迫した現状に閉塞感を抱きながら生活していたことがよく分かりました。都市の構造からすれば、ベルリンはパリやロンドンのような歴史的情緒に欠けている嫌いもあったようですが、機能性に優れた公共建築を彼の地で生活した日本人が評価しています。私はバウハウスやシュトゥルム画廊のことが記載されている箇所が気に入りました。20代の頃、私はウィーンに5年間住んでいましたが、当時の西ベルリンは東ドイツにあり、陸の孤島とも言われていて、結局行かずに帰国してしまいました。ドイツが統一され、今一番行って見たい都市がベルリンです。機会があれば訪れたいと思っています。

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