「描かれた空想美術館」を読んで
2007年 7月 14日 土曜日
昨日は何故ホルスト・ヤンセン展の回想を書いたかと言えば、今読んでいる種村季弘著「断片からの世界」にヤンセンの評論が掲載されていて、20数年前にウィーンで知った卓越した素描画家の様々な面を知ることができたからです。著書にはヤンセンが好んで古今東西の巨匠を模写して自作を作り上げていることが論じられています。「先師から弟子へと伝承されてゆく模写の過程にあって重要なのは、巨匠たちのお手本を通じておこなわれる師との対話である。この対話の緊張が模写された作品のリアリテイーを支えており、もしもその緊張が一瞬たりとも弛緩すれば、模写はたちどころにたんなる機械的再製、石膏鋳型鋳出へと堕してしまう。」と述べられた後、ヤンセンの模写が「当意即妙の機智に導かれた模写」であり、「彼一人がコレクターであるところの独力の空想美術館を描き上げてしまう。」と結んでいます。どこかで見たことのある情景、でもどこにもないヤンセン独特な画風という印象を20数年前に持ったことは、こんなところに所以があったのかと改めて思い知った次第です。
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