勤務終了後に上野の美術館へ…

横浜市瀬谷区の職場に転勤してきて、前職場に比べて外会議が多いなぁと感じています。出張というほど遠方に行くわけではなく、区役所の会議室を使って区内のさまざまなことについて話し合いを持っているのです。今日も午後から区役所に行きました。勤務時間終了までそこで会議を行っていて、その後は帰路につく予定でしたが、今日は金曜日なので遅くまで開館している東京の美術館を目指して、横浜から上野まで出かけていきました。東京都美術館で開催している「クリムト展」は必ず見に行こうと決めていました。私は20代の頃、ウィーンに住んでいました。当地の国立美術アカデミーに在籍していましたが、グスタフ・クリムトを中心とするウィーン世紀末芸術は、ウィーン観光の売りになっていて、多くの観光客がクリムトの世界を味わうために、ベルベデーレ宮殿併設の美術館を訪れていました。私も幾度となくクリムトの絵に接してきました。私がウィーンに滞在していた最初の頃は分離派会館(別称セセッション)が工事中で、クリムトの壁画が見られませんでしたが、帰国間近になってリニューアル工事が完成し、金色の球体(別称金のキャベツ)を頭上にのせた独特な建物を見ることが出来ました。その時に修復を終えた「ベートーヴェン・フリーズ」も観ました。いつも買い物で訪れたナッシュマルクト(市場)の傍にあった分離派会館とオットー・ワーグナーのデザインしたアパートが、ウィーンの生活の一場面として今も思い出されます。今回の展覧会では「ベートーヴェン・フリーズ」の実物大複製が展示してあったので驚きました。私はいつ頃、ウィーン世紀末の芸術家たちを知ったのか、もちろんウィーンに行く前から知っていましたが、最初の記憶が定かではありません。おそらく学生時代に愛読した「見えない彫刻」(飯田善國著 小沢書店)に掲載があったクリムト、シーレ、ココシュカに関する評論で知ったものではないかと思っています。「クリムト展」は開館時間延長日にも関わらず、入場規制が行なわれるほど混雑していました。鑑賞者は圧倒的に女性が多く、クリムトの瀟洒な雰囲気が女性に人気なのかなぁと思ったりしました。クリムトは日本美術を取り入れていて、金色を多用したり、和装の文様のような幾何的な平面構成があったりして、その絵柄は明らかに日本のそれと類似していると感じました。平面文様と写実性のある人物描写が相俟っているところがクリムトの特徴で、強いて言えばこのような象徴性が全面に出ている絵画は、日本人が好む要素が満載しているんじゃないかと思いました。詳しい感想は後日改めます。

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