建築家ル・コルビュジエについて

私は高校生の頃に、建築家になりたいと思っていました。当時は一握りのスター建築家を夢見ていましたが、理系が得意ではなかったせいか、それを即座に更新し、工業デザイナーを目指すようになりました。美術系の大学に入るため受験用デッサンを始めた折に再度方向転換し、結局入学したのは彫刻学科でした。大学を出て、ヨーロッパに渡り、ウィーン国立美術アカデミーに籍を置きました。ヨーロッパで自分を虜にしたのは街の景観で、最初は石を積み上げた構築性に憧れ、次に近代のシンプルな構造に美意識が移りました。ヨーロッパでは学校にいるよりも街の中を散策している方が楽しく感じられ、毎日旧市街を歩いていました。街の中のオットー・ワーグナーやアドルフ・ロースの建築に注目しました。そんな折にル・コルビュジエの機能的な建築のことを知りました。ル・コルビュジエがどんな功績を残した建築家だったのかは帰国してから知った次第です。滞欧中に理解があれば、ル・コルビュジエの建造物を訪ね歩いたはずでした。ル・コルビュジエ設計による東京国立西洋美術館が世界文化遺産に登録されたのを契機に、ル・コルビュジエの業績を確認したいと思っています。ル・コルビュジエはペンネームで、本名はシャルル=エドゥアール・ジェンヌレ=グリと言います。日本で有名なフランク・ロイド・ライトとともに近代建築の巨匠の一人です。写真で見たことのあるサヴォア邸やロンシャン礼拝堂がありますが、ロンシャン礼拝堂は貝殻構造によるうねった屋根や厚い壁に穿った小さな窓が特徴で、重厚に見える屋根は軽く、重い壁を軽く見せる技法で知られていて、私も一度見に行きたい衝動に駆られます。ル・コルビュジエが言う新しい建築の5つの要点、それはピロティ、屋上庭園、自由な平面、水平連続窓、自由な立面ですが、まさに近代以降の建築はここから出発したと言っても過言ではありません。画家として出発し、やがて建築家として成功したル・コルビュジエはずっと絵を描いていたようです。機能的であり、豊かな空間を獲得した建築は、画家の発想があってこそなのかもしれません。

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