空間認識について
2017年 3月 16日 木曜日
自分がどんな自宅や職場で一日の生活をおくっているか、顧みると自分が認識する空間への意識が導き出されてきます。日本の住宅事情は世界的に見ても決して良いとは言えず、ほとんどの人が狭い室内で効率よく生活していると考えています。畳6枚程度の部屋で押し入れに布団を収納したり、また出したりしているのは、その部屋が居間にも寝室にもなる多面性を持った部屋であることを意味しています。職場は職種によって、その人の空間認識はさまざまですが、現在の私の職場は働く人の割には広い方ではないかと思っています。私の生活環境で特殊な場所は工房です。個人が所有する空間としては贅沢なほど広い空間です。自宅から工房にやってくると空間認識が変わります。それはさておき、普段は狭い中で効率よく生活している私たち日本人は、たとえば創作活動にもその影響が現れるのではないかと思うことが暫しあります。作家の創作に纏わる背景を探るとき、その人がどんなところで寝食し、どんなところで作品を制作しているのかが無意識のうちに現れると私は思っています。国際的な展覧会の中で、日本人の作品はこじんまりとしていて、細部まで丁寧に作ってあるというのが、嘗て海外で生活をしていたときに感じた印象でした。あれから何十年も経ち、日本人の意識も変わってきていると思いますが、住宅事情は変わりようがなく、日本人の根底に流れる空間認識も変わりようがないのではないかと思うところです。日本の工芸品が超絶技巧を凝らして世界を驚かせたのも、日本人の空間認識が成せる技かなぁと思っています。
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Tags: 作品, 創作, 工房
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