米アカデミー賞の「バードマン」雑感
2015年 6月 10日 水曜日
先日、久しぶりに家内と橫浜のミニシアターに出かけました。今年のアカデミー賞4部門に輝いた「バ-ドマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)」を観てきました。特撮映画で一躍有名になった俳優が、起死回生を願って演劇に賭ける物語で、実際にバッドマンで名を成したマイケル・キートンが主役を演じていました。途轍もなく長いロング・ショットで劇場の内外を通じて隅々まで役者を追いかける撮影は、臨場感があって人の目線で事物を捉える手法になっていました。これはフィクションでありながら不思議なリアル感と即物感があって、この類い希なる説得力がアカデミー賞受賞に結びついたのかなぁと思いました。映画の中で2つの劇中作品が登場します。ひとつは架空の特撮映画バードマンで、主人公の心の声として、あるいは栄光を貪っていた頃の主人公の幻視として現れるのです。もう一つは主人公が復活を賭けた「愛について語るときに我々の語ること」(レイモンド・カーヴァー著)の芝居の一部です。これはプレビュー公演から波瀾万丈になり、有名批評家からは毒舌を浴びせられ、一時はどうなるものかと思いきや、芝居を超えた主人公の鬼気迫る演技が奇跡を生むことになるのです。薬物依存症の娘も主人公の付き人として働いていて、その壊れた親子関係も徐々に回復していく状況も描かれています。音響はドラムだけで雄弁に語り、楽屋の狭い通路をカメラが追いかけるシーンで効果的に使われていました。現在アメリカの病んだ部分や再起に賭けていくプラス思考の人生を、この映画は余すところなく語っていると思いました。
関連する投稿
- 新作完成の5月を振り返る 今日で5月が終わります。今月は個展図録用の写真撮影が昨日あったために、これに間に合わせるために夢中になって制作に明け暮れた1ヶ月だったと言えます。31日間のうち工房に行かなかった日は2日だけで、29 […]
- 映画「シン・エヴァンゲリオン劇場版」雑感 昨晩、家内と横浜市都筑区鴨居にある映画館に、今話題となっているアニメ映画「シン・エヴァンゲリオン劇場版」を観てきました。「新世紀エヴァンゲリオン」は20数年前に社会現象となり、私もそのアニメーション […]
- 映画「JUNK HEAD」雑感 昨晩、久しぶりに横浜の中心街にあるミニシアターに家内と行きました。レイトショーであるにも関わらず、上演された映画の客の入りは上々だったのではないかと思いました。映画「JUNK […]
- 週末 板材刳り貫き作業&映画鑑賞 今日も朝から工房に篭って、昨日に引き続いて板材刳り貫き作業を継続しました。昨日から取り組んでいた1点目を午前中に終え、午後から2点目に取り掛かりました。2点目は3分の1くらい刳り貫き作業が進んだとこ […]
- 週末 益子から陶土が届いた日 週末になりました。今日はいつも通り朝から工房に籠って制作三昧の一日でした。陶土を掌で叩いて座布団大のタタラを数枚作り、明日の陶彫成形に備えました。それから彫り込み加飾を行いました。一日の制作時間とし […]
Tags: 散策, 映画
The entry '米アカデミー賞の「バードマン」雑感' was posted
on 6月 10th, 2015
and is filed under note.
You can follow any responses to this entry through the RSS 2.0 feed.
Both comments and pings are currently closed.