「青と金色のハーモニー:ピーコック・ルーム」

画家ホイッスラーが建築家トーマス・ジェキルと協働制作した室内装飾「青と金色のハーモニー:ピーコック・ルーム」を一度見てみたいと思っています。現在、横浜美術館で開催中の「ホイッスラー展」には映像での紹介がありましたが、ジャポニスムを意識した装飾が見事で、青海波風のパターンに惹かれてしまいます。扉に描かれた孔雀も装飾化が美しく、また壁に描かれた2羽の孔雀は蒔絵を思わせる流麗さがあります。実物を見ていないので、直接感銘を受けたわけではありませんが、映像によってもその美しさは伝わってきます。ホイッスラーは最初の家主レイランドに断りもなく、家主が不在中に全面的に装飾をやり直した記録が残っています。支払いを巡ってホイッスラーはこの家主と不仲になり、次の家主フリーアによってこの室内装飾はロンドンからアメリカのデトロイトに移築され、さらにワシントンのフリーア美術館に移築される運命を辿りました。「青と金色のハーモニー:ピーコック・ルーム」は3回の移築によって保護されている室内装飾なのです。陶磁器を飾る棚がリズミカルに並び、天井絵にも孔雀の羽根のパターンがあります。ジャポニスムに魅了され、空間全てを東洋趣味で覆ったホイッスラー。いつか機会があればフリーア美術館の「青と金色のハーモニー:ピーコック・ルーム」を訪れてみたいと願うのは私ばかりではないでしょう。

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