天使について

今月のRECORDのテーマにした「天使」とは何か、キリスト教美術に疎い自分は一般的な画像の印象しか頭になく、天使の存在そのものを捉えておく必要があると思いました。事典を見てみると、天使とはユダヤ教、キリスト教、イスラム教に共通して登場し、神々と人間の中間に位置する霊的存在で、伝令や使いの者としての役割があるようです。とりわけキリスト教の天使は、人間より優れた知恵と能力をもちつつ肉体をもたない霊で、さらに面白いと自分が感じたのは、堕落した天使が悪魔になるところです。神に善きものとして造られた天使は、神に逆らって地獄に堕ち、人間に悪を薦めるようになったというのです。言わば天使と悪魔は紙一重、同じ霊的存在がジキルとハイドよろしく正反対に変貌するのは、いかにも西欧的ドラマ性を感じさせるものです。天使にも階級があることを知って、人間社会をそのまま投影した感覚をもちました。その中に登場するセラフィム(熾天使)、ケルビム(智天使)、オファニム(座天使)と呼ばれる天使とは何か、想像すると興味が尽きなくなります。天使の図像学を学んでみたくなるのです。無垢な童子や美しい女性、優しい男性が天使となって絵画等に登場するのはルネサンス以降のようです。それ以前は多数の眼と翼をもつ奇怪な存在として描かれている天使、さらに古くは肉体をもたなかった時代もあって、私たちの文化との接点も模索したくなってしまいます。

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