縄紋文化と前衛美術・Ⅱ
2013年 8月 30日 金曜日
「渦巻紋と輪廻転生」(藤田英夫著 雄山閣)を読んでいます。昨日の続きを今日も掲載します。まずは文中の引用から。「オリエントでまだ土器が作られていない『先土器新石器文化時代』に、縄紋人はすでに光輝紋を土器に施紋していたので、縄紋文化はまぎれもなく世界の先進文化であった。~以下略~」縄紋(縄文)時代は土器に見られる優れた造形性ゆえに自分が興味関心のある時代です。世界的に見て縄紋文化が進んでいたことは日本人として嬉しく、また誇らしく思います。「世界の土器土偶をみても分かるとおり、平凡な原始生活の中での平凡な生活の中からは、縄紋文化のような精神的に優れた前衛的芸術作品は決して生まれない。当時あれだけの想像もできない素晴らしい芸術的土器と土偶が出現した原因を考えると、何か特別な社会制度があって、その特殊条件下に置かれた芸術家たちが、競争するように新モデルの創作に励んだ結果であろうと考えられる。」縄紋時代は前回まで読んでいた土面に関する書籍にもありましたが、戦争のない穏やかな時代だったようで、長い年月に亘っています。特別な社会制度、たとえば貴族のような階級が芽生え、趣向を凝らした造形を競わしたのかもしれません。縄紋土器に見られる斬新なデザインは、日常品としての土器とは違う価値観をもって作られたとしか考えようのないものです。自分も陶彫を扱う彫刻家の一人として古代日本に現代彫刻に繋がる要素を見出し、縄紋人の抽象衝動を感覚として捉えながら自作を作っていこうと思います。
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Tags: 書籍, 芸術家, 陶彫
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