12‘評壇より

「陶彫で遺跡からの出土品みたいな抽象オブジェを作り、それらを屏風パネル、箱形置き物、残決単品の三様に仕立てて展示。これも新品を古物に偽装しているその意外性が趣向であり、見せどころとなっている。」という寸評がビジョン企画から出版されている新報に掲載されていました。これは毎年掲載していただいている展覧会誌で、短い文面ながら言い当てているところがあって毎回保存しています。「出土品みたいな」はまさにその通りで、近未来的な抽象形態を錆びついたように古く見せるため、陶土を混ぜ合わせ、化粧土を加合して焼き締めているのです。イメージの礎はエーゲ海沿岸の遺跡にありますが、現代に置き換えて未来に発掘された遺跡としていることもあります。形態に敢えて欠落した部分を作っているのは「出土品みたいな」残骸である以上、完全なカタチではなく想像で補う部分を作って擬似発掘として考えていただきたい目論みがあります。実際に発掘された出土品は、部分から全体像をイメージして、それを使用した人々の生活全般に思いを馳せます。「発掘シリーズ」は考古学からイメージしたものをアートとして扱い「古物に偽装している」作品なのです。

関連する投稿

  • 週末 陶彫の難しさ実感 今日は朝から夕方まで工房に篭って制作三昧でした。今日は新作陶彫の成形を行っていましたが、改めて成形の難しさを実感しました。陶芸は電動ロクロの技術に熟練を要します。何度も同じものを作っていくうちに手馴 […]
  • 陶彫成形に関する雑感 新作屏風を作り始めて感じたことを書きます。NOTE(ブログ)はHPとして公開していますが、それを承知で自分のメモで使っていることが結構あります。今回は制作の裏事情ですが、自分の備忘録として記そうと考 […]
  • 週末 陶彫制作に没頭 今日は週末なので朝から工房にいました。ただし、この1週間は仕事から帰ると工房に出かけ、2時間程度制作をやっていました。日によっては1時間が限界という時もありました。その制作の流れのまま週末を迎え、今 […]
  • 週末 加飾に明け暮れる 昨日成形したドーム型陶彫部品に今日は朝から加飾を行いました。彫り込みを入れたり、穴を空けたりする作業をやっていると、これが作品化する上で一番面白みがある作業ではないかと思えます。生乾きの陶土の上に針 […]
  • 週末 イメージの昇華 新作のための陶彫部品を作り始めました。昨日と違ってほんの少しばかり気温が低いのが救いでした。美大生ら3名の子たちもそれぞれの制作に勤しみ、相変わらず工房に真剣な空気が流れていました。自分の作っている […]

Comments are closed.