12‘評壇より
2012年 9月 24日 月曜日
「陶彫で遺跡からの出土品みたいな抽象オブジェを作り、それらを屏風パネル、箱形置き物、残決単品の三様に仕立てて展示。これも新品を古物に偽装しているその意外性が趣向であり、見せどころとなっている。」という寸評がビジョン企画から出版されている新報に掲載されていました。これは毎年掲載していただいている展覧会誌で、短い文面ながら言い当てているところがあって毎回保存しています。「出土品みたいな」はまさにその通りで、近未来的な抽象形態を錆びついたように古く見せるため、陶土を混ぜ合わせ、化粧土を加合して焼き締めているのです。イメージの礎はエーゲ海沿岸の遺跡にありますが、現代に置き換えて未来に発掘された遺跡としていることもあります。形態に敢えて欠落した部分を作っているのは「出土品みたいな」残骸である以上、完全なカタチではなく想像で補う部分を作って擬似発掘として考えていただきたい目論みがあります。実際に発掘された出土品は、部分から全体像をイメージして、それを使用した人々の生活全般に思いを馳せます。「発掘シリーズ」は考古学からイメージしたものをアートとして扱い「古物に偽装している」作品なのです。
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Tags: イメージ, カタチ, 書籍, 陶土, 陶彫
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