6月RECORDは「流転の因」
2021年 6月 10日 木曜日
雨が降れば河川が氾濫し、豪雨ともなれば逆巻く波に家屋が呑み込まれていく場面を何度となく最近の報道で見ています。梅雨の季節になれば水害による悲惨な状況をつい考えてしまうのは私だけではないはずです。梅雨に入るのはいつ頃でしょうか。今は真夏のような暑い毎日が続いていて、工房に篭っていると熱中症が心配になります。最近はどうも気候がおかしくなっているようで、雨が降ればゲリラ豪雨になる可能性も否めません。今月のRECORDはそんな気候の変化を取り上げて作品化しようと思っています。RECORDは写実性を控えて、象徴として簡素化して作品にまとめてみようと考えていて、豪雨が齎す河川の氾濫も単純な線と面に集約していくつもりです。第二次大戦で爆撃を受けたスペインの街ゲルニカを描いたピカソの大作を見て、象徴的なカタチが、鑑賞する人間に与える衝撃によって、より鮮明で胸が抉り取られるような気分になることがありました。豪雨による被害状況も、人災と自然災害の違いはあれど、ゲルニカに匹敵するインパクトを私は感じています。6月のRECORDのテーマを「流転の因」としたのはそうした災害のことを何かしら表現したいと思ったからです。RECORDは一日1点ずつ小さな平面作品を作り上げていくもので、一日の気候変動を描くのには相応しい媒体ですが、何年も前から5日間で展開する方法を考えていて、その時その状況を描くことに距離をおいてしまい、その都度時事問題を描くことにはなりません。それでも大きく捉えれば、気分としてその時の状況に沿っているとも思っています。私はデザイン性が優先する癖があり、バランスよく綺麗にまとめてしまうので、テーマの内容をよく吟味しながら、制作を進めていきたいと思っています。
関連する投稿
- 竹橋の「パウル・クレー展」 パウル・クレーという画家名が新聞の展覧会欄に載っていると、必ず展覧会に行きたくなるという癖が自分についてしまいました。何度クレーの絵画に触れたことか、滞欧生活の頃から考えると数え切れません。クレーは […]
- RECORDは「縦縞」 一日1枚ずつ葉書大の平面作品を作っているRECORD。一昨年から始めているので1000点を超える量になっています。3年目の今年は毎月パターンを決めて、その中で展開できるようにしています。8月のパター […]
- 活字離れの反動 職場まで自家用車で通勤し、しかも超過勤務の毎日。たまに帰りがけにスポーツクラブに行って水泳で身体を保ち、帰宅すると「365点の連作」を作ったり、このブログを書いたり。こんな毎日の生活で犠牲になってい […]
- 週末 六本木・銀座・上野を渡り歩く 今日は東京の博物館、美術館、画廊を回ろうと決めていました。後輩の彫刻家が二科展出品、同僚の画家がグループ展参加、その他見たい展覧会があって、二科展とグループ展の日程が合うのが今日しかなかったのでした […]
- 三連休 新作の制作目標 今日から三連休です。現在取り組んでいる陶彫の新作は2点あります。大きい作品は擂り鉢状の円形をした作品です。もうひとつは絵画的な構成から発展した作品で、擂り鉢状の作品に比べて、小さいスケールで作ってい […]
Tags: RECORD, 作品, 制作, 画家
The entry '6月RECORDは「流転の因」' was posted
on 6月 10th, 2021
and last modified on 6月 12th, 2021 and is filed under note.
You can follow any responses to this entry through the RSS 2.0 feed.
Both comments and pings are currently closed.