週末 六本木・銀座・上野を渡り歩く

今日は東京の博物館、美術館、画廊を回ろうと決めていました。後輩の彫刻家が二科展出品、同僚の画家がグループ展参加、その他見たい展覧会があって、二科展とグループ展の日程が合うのが今日しかなかったのでした。とは言え陶彫制作をしないわけにもいかず、朝8時に工房に出かけました。明日の成形準備のために大き目のタタラを4枚、陶土を掌で叩いて作りました。9時過ぎに自宅に戻り、汗になったシャツを着替えて、東京に出かけました。まず向ったのは六本木の国立新美術館。ここで二科展が開催されていて、私は後輩の彫刻家から招待状を頂いていました。彼の作品は合板を重ねた積層を利用した立体作品で、今年の新作は2m以上もある直方体を基本としていましたが、寧ろ曲面で構成された多面体と言える流動感のある柱でした。極めて彫刻的な造形で、シンプルにして豊かな空間を創出していました。昨年までの彼は工芸的な要素が目立つ作品を作っていましたが、今年は吹っ切れたような立体になっていて、彫刻として訴えてくるものがありました。今後の彼の活躍に期待したいと思っています。次に向ったのは銀座です。日本美術家連盟画廊で開催されていたグループ展に、私と同じ二足の草鞋生活を送る同僚が絵画を出品していました。青と白を使った抽象絵画ですが、描写行為のない平面作品は、絵画と言うより平面を媒体にした空間作品と、私は思っていました。とりわけ新作は絵の具を垂らしたり、滴らせたりしていて、彼は何か別の方向を探っているようでした。昨年まで次第に簡潔になっていく画面を見ていて、この先はどうなってしまうのだろうと思っていましたが、模索を繰り返すうちに、彼は新しい世界を開拓したのかなぁと感じました。次に向ったのは上野でした。全て地下鉄銀座線の途中下車の旅で、最後の上野に到着した時はクタクタに疲れていました。まず東京国立博物館本館へ。先日は平成館の「三国志」展を見たばかりでしたが、再びトーハクに戻って来ました。今日見たのは「奈良大和四寺のみほとけ」展。日本の仏像に接するのは久しぶりで、7月に見た魂漲る石川雲蝶の木彫群とも異なる世界は、奈良時代や鎌倉時代に奉納安置された仏像ゆえに、静かな佇まいが空間を支配していました。「奈良大和四寺のみほとけ」展に関しては後日改めて詳しい感想を書きたいと思います。最後に訪れた東京芸術大学美術館の「円山応挙から近代京都画壇へ」展は、かなり混雑していました。というのは芸大が大学祭(芸祭)をやっている最中で、模擬店やら出し物を見にくる人の往来が激しく、その影響もあったのかもしれません。日本画家円山応挙は写実に長けた人で、その流れを汲む画家も、それぞれが確かな描写力があって、西洋技法が日本画に巧みに取り入れられているところが面白いと感じました。「円山応挙から近代京都画壇へ」展も詳しい感想は後日に改めます。今日のNOTE(ブログ)のタイトルを普通に東京の展覧会巡りにしようと思っていたのですが、展覧会の場所がアートが集まる三大地域ということもあって、敢えてこのタイトルにしました。

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