週末 成形&故人陶彫家を偲ぶ

今日は朝から工房に篭り、昨日準備しておいたタタラを使って、19点目になる陶彫成形を行っていました。久しぶりに美大受験生が2人工房にやってきました。2人のうち1人は修学旅行に行ったようで長崎のカステラをお土産にいただきました。コロナ渦の影響で、本来なら台湾に修学旅行に行くはずが、九州になったと言っていました。若いスタッフが工房に来ると背中を押される感覚があって、私の制作も進みます。午後になって乾燥した陶彫部品を仕上げて化粧掛けを施そうとしましたが、窯に入れるための組み合わせがうまくいかず、今回の焼成は見送ることにしました。その分彫り込み加飾を多少でも先に進めることにしました。このところ週末は陶彫一辺倒ですが、夜になってNHK番組「日曜美術館」(再放送)を見ていたら、故人陶彫家を取上げていて、私の興味関心を一気に持っていかれました。その人の名は辻晋堂で、私のNOTE(ブログ)にも複数登場しています。「辻晋堂の彫刻」(2008年11月12日付)、「鎌倉の『辻晋堂展』」(2011年2月2日付)、「『辻晋堂展』で陶彫を考える」(2011年2月3日付)、「壁体彫刻の魅力」(2011年2月9日付)とアーカイブを数えると4回取上げています。今晩の「日曜美術館」ではサグラダ・ファミリア贖罪教会の主任彫刻家である外尾悦郎氏が出演し、大学時代の師辻晋堂について語っている場面がありました。外尾氏が学生時代、大事にしていた一本の鑿が師の心に触れたらしく、いつも見守ってくれていたという台詞は私の心も打ちました。スペインに行く前に師から「日本美術家連盟」に入るように勧められて推薦をしてくれたことも言っていました。あぁ、私と同じだと思いました。私も師池田宗弘先生の推薦を受けて「日本美術家連盟」に入ったのでした。「何かの役に立つと思うよ。」と池田先生が言ってくれましたが、私もそこで彫刻家としての自覚が芽生えました。私が辻晋堂という陶彫家を知ったのは、40年以上も前に東京銀座のギャラリーせいほうで池田先生の個展の手伝いをしていた時でした。その後、同ギャラリーの「辻晋堂展」にお邪魔しましたが、とうとう作家には会えませんでした。そんな思い出が甦ってきて、別稿でもう一度「辻晋堂の陶彫」について書いてみようかと思っています。辻ワールドに接すると、私はつい惹きこまれてしまうのです。

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