映画「ユダヤ人を救った動物園」雑感
2018年 1月 30日 火曜日
オスカー・シンドラーや杉原千畝のようなナチス支配下で自らの危険を冒しても、多くのユダヤ人を救った実話は、映画化やその他の報道であまりにも有名です。映画「ユダヤ人を救った動物園」も、それと同等な人間の尊厳に纏わる実話であり、関わった人たちの勇気ある行動に感銘を覚えました。独ソ不可侵条約でバランスを保っていたポーランドが、1939年その締結によりヒトラーが同国への侵攻を始めました。舞台はワルシャワにある動物園で起きたことで、動物園を営むヤンとアントニーナ夫妻が多くのユダヤ人を動物園の地下の檻に匿い、安全なところに脱出させる実話がドラマの中心でした。動物園をドイツ兵の食料を供給する養豚場にすることを夫妻はドイツ軍に提案し、その餌となる生ゴミをユダヤ人居住区(ゲットー)からトラックで運ぶ際に、ユダヤ人たちを紛れ込ませ、動物園の地下に連れてきたのでした。園内に駐在するドイツ兵にいつ命が狙われてもおかしくない状況で、鬼気迫る演出に私は固唾をのんで進行する映画を観ていました。妻アントニーナを演じたジェシカ・チャステインが秀逸で、女性ならではの優しさと強さを自然に演じていて、とりわけ動物たちとの関わりが素敵でした。戦争が始まると猛獣や有毒生物がいる動物園はどうなってしまうのか、空爆によって施設が破壊され、それら動物が外部に逃げ出すことを考えれば殺処分しか選択肢はありません。言うなればこうした動物園は、そもそも平和の象徴なんだなぁと改めて私は思いました。飼育員が破壊された動物園にずっと留まっていて、夫妻と力を合わせて動物園再開を誓ったことも心温まるシーンでした。動物も人間も同じ命の行方を巡って深く考えさせられる機会が与えられた映画だったと思いました。
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