自分の原点を探る

今日は母校の卒業制作展に行ってきました。相原工房に出入りしている若いスタッフの一人が、母校の工芸工業デザイン学科にいてテキスタイルを学んでいます。そのスタッフが卒業制作展に渾身の作品を出品しているので、それを見に行くことを目的としていましたが、母校は自分が創作活動をスタートする契機になった場所でもあるのです。それまで受験用のデッサンをやっていたとしても、ほとんどの学生が本来の意味で創作を考え始めるのは専門の大学からと言っても過言ではありません。20代前半だった自分は、彫刻の魅力に取り憑かれて、立体表現を将来続けていくことを誓ったのでした。師匠に恵まれ、環境に恵まれて過ごした4年間は、自分にとって珠玉の時間だったわけで、それがあったればこそ30数年間彫刻を続けられてきたのです。二束の草鞋生活も残すところ僅かとなり、彫刻一本の生活が目の前にきています。そんな中で自分の原点を探り、あの頃の誓いをもう一度確認したかったのです。時代は変わり、学生たちの表現が拡大し、設備も充実して、羨ましく思う反面、この中で何人の学生がアートにずっと携わっていけるのだろうと思っています。若いスタッフのテキスタイルの作品は、当時の私の人体塑造より遥かに優秀で、いつでも世に出せる表現力をもっていました。彼女だけでなく、多くの学生作品に優れた力を感じさせるものがありました。また意欲が空回りしていたり、迷走する作品も見受けられましたが、それは私と同じで、曲がりなりにも継続をすれば何とかなるような作品でした。感慨一入、創作への思いはどこまで続くのか、社会人として生活していても、この4年間で培った思いだけは絶やさずいて欲しいと願う一日でした。

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