ブールデルの構築性
2013年 1月 31日 木曜日
東京上野の国立西洋美術館で開催中の「手の痕跡」展でロダンに並んで展示されている彫刻家ブールデルの塑造は、ロダンと比べると一層構築性に富み、堅牢な存在感を示しています。有名な「弓を引くヘラクレス」にしても極端なポーズの人体ですが、ロダンのような無理なポーズをしているようには見えません。粘土が流麗なリズムを刻むロダンは、ややもすると抒情に流れる嫌いがありますが、ブールデルは神話的なテーマを扱っていても記念碑的な象徴性を湛え、揺ぎ無い塊としての存在を感じます。自分の学生時代はまずロダンありきで、さらにロダンのもとで学んだ荻原守衛に憑かれていましたが、今となってはブールデルの構築性が好きなのです。ブールデルの方が現代性を持っているとも思えます。ブールデルの構築性を突き詰めていけば、やがて抽象化していくだろうと考えられるからです。現代彫刻の父と呼ばれるブランクーシは構築性が全てで、無駄を省いたカタチに重力を超えた軽やかさを感じます。逆にブールデルは重厚な雰囲気を湛えていますが、現代への道を切り開いた具象彫刻家だったと思っています。
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Tags: 展覧会, 彫刻
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