オブジェの定義

先日読み終えた美学出版「終わりきれない近代」の中でオブジェについて触れた文章があります。「オブジェというフランス語は、英語のオブジェクトに相当します。自分から見て前方に投げ出されたものというのが語源。だから、対象、客観、目的、目的語、そして物体という非常に重要な概念が、みんなこの一語で代表されます。〜略〜ところが、オブジェというごく普通のフランス語は、二十世紀の前半に特殊な造形手法を指す言葉としてフランスの美術界で用いられて以来、もともとのオブジェの語義とは少しずれたところで、翻訳不可能な概念を見につけてしまったのです。」(著・峯村敏明)自分も普段何となく使っているオブジェという言葉を思い返してみて、なるほど自分もそんな概念でオブジェを捉えていたのかなと感じました。でも、オブジェという現代美術界にしか通用しない言葉を、自分はあまり好みません。何でもオブジェで通用するというのが自分にはしっくりこないのです。やはり自分は「陶彫」という自分にとってわかりやすい言葉を使っていきたいと思います。

関連する投稿

  • 「中空の彫刻」読後感 「中空の彫刻」(廣田治子著 […]
  • 「作陶への取り組みの第一歩」について 「中空の彫刻」(廣田治子著 三元社)の「第二部 ゴーギャンの立体作品」の中の「第2章 最初の陶器(1886秋~1887初頭)」に今日から入ります。今回は「1 […]
  • 飛躍の6月を振り返る 今日で6月が終わります。今月は7月個展のために図録を作成し、案内状も自宅に届きました。個展に出品する作品の梱包を始めていて、現在は陶彫部品を収納する木箱の製作に追われています。木材を調達しながら木箱 […]
  • 連休最後の日 今日でゴールデンウィークが終わります。3月で公務員を退職したため、連休という意識が薄れつつありますが、それでも昔からの慣習で、連休中に何かやろうと思い、仏像に関する書籍を読んで知識を深めることにしま […]
  • 「発掘~盤景~」と「構築~視座~」について 今年の7月個展に出品する新作のタイトルを「発掘~盤景~」と「構築~視座~」とつけました。「発掘~盤景~」は発掘シリーズとして私の作品の中核を成すもので、陶彫部品を組み合わせる集合彫刻にしています。デ […]

Comments are closed.