「種子を粉にひくな」
2008年 8月 30日 土曜日
表題はドイツの女流画家ケーテ・コルヴィッツの日記につけられたタイトルです。ブログでは8月11日に「ケーテ・コルヴィッツの肖像」の感想を書いています。同時に読み始めた2冊のコルヴィッツの本でしたが、かなり時間差がついてしまいました。日記の方は鈴木東民・訳によるもので、内容は芸術家というより一人の人間としてのコルヴィッツの心情が語られていて、じっくり味わいながら、中断も余儀なくされて、今やっと読み終えたところです。家族を思い、母として生きたコルヴィッツ。第一次大戦で次男を失い、第二次大戦で孫を失い、ナチスによって芸術活動を封じられ、ヒットラー政権が終わる寸前に他界したコルヴィッツ。作品に込められた思いが伝わる日記の内容でした。「種子を粉にひくな」という副題は、戦争でこれ以上若者を失うことに身をもって反対したコルヴィッツが、ゲーテの言葉を引用したものです。この夏は、社会的表現にその才能を捧げた画家を今一度振り返ってみる機会を持ちました。 Yutaka Aihara.com
関連する投稿
- 「中空の彫刻」を読み始める 「中空の彫刻」(廣田治子著 […]
- 知的活動と手仕事 「キルヒナーは、1925年の自分の作品についての重要な自伝的省察において、『知的活動と手仕事の結びつきにおいて世界でもっとも美しくユニークな』芸術家という職業を彼が二元的に理解していることを明確に述 […]
- 夏気分を惜しみながら… 今日で8月が終わります。月が変わることに郷愁を感じるのは夏の特徴かもしれません。開放感あふれる夏だからこそ流行り歌にもなり、移ろう夏気分を惜しむ情景になるのだと感じます。今月の創作活動を省みると、と […]
- 土練りのあと美術館へ… 成形に使う陶土がなくなり土練りをしました。陶彫は土を単身ではなく複数の土を混ぜて使っているのです。近々新しい土錬機が来るので、今使っている土錬機最後の仕事かもしれません。自分と懇意にしている陶芸業者 […]
- ドイツ表現派の書籍 「バルラッハ~神と人を求めた芸術家~」(小塩節著 日本キリスト教団出版局)を読んだ後に、「右手と頭脳~エルンスト・ルートヴィッヒ・キルヒナー《兵士としての自画像》」(ペーター・シュプリンガー著 […]
Tags: 作品, 書籍, 画家, 芸術家
The entry '「種子を粉にひくな」' was posted
on 8月 30th, 2008
and is filed under note.
You can follow any responses to this entry through the RSS 2.0 feed.
Both comments and pings are currently closed.