彫り込み加飾について
2017年 9月 26日 火曜日
私の立体作品は窯に入れて焼成する陶の技法を用いています。彫刻、陶芸、絵画の3分野に跨る制作方法を取っていて、手間のかかる制作工程と言えます。まずは陶土を使って立体を作ります。これは彫刻です。立体の持つ構成や量感に重点をおいて作っているのです。立体の内側は空洞になっていて、これは焼成する際に壊れにくくするためで、陶芸では定番となっている方法です。陶土で作った立体の表面には彫り込み加飾を施します。これはレリーフですが、彫刻的な捉えをしていません。立体を際立たせる効果はありますが、あくまでも平面的な彫り込みです。文様を彫り込むことによって古代の装いを作品に付加するのです。いわば絵画性の強い装飾です。この彫り込み加飾は、やや硬化した陶土の表面に鉄筆で線を入れ、また線で囲んだ部分の陶土を掻き出していくのです。専用へラである深さまで削っていく作業によって、立体性と平面性を兼ねた表現が出てきます。矩形による規則正しい凹凸を加えることで、立体はその角度によって微妙な陰影を加えます。窯に入れ、炎神の威力によって陶彫は立体と平面が一体化した作品になっていくのです。そんな意味でも彫り込み加飾は重要な工程です。最近では彫り込み加飾をウィークディの夜にやっています。立体として全体を把握する必要がないので工房内を歩き回ることがなく、作業台に照明を当てながら、部分を削る作業をしているのです。夜の方が加飾に集中できるかなぁと思っています。
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Tags: 工房, 彫刻, 陶彫
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