クリスマスの思い出

三連休の中日です。今日も朝から工房に篭り、制作に明け暮れました。今日はクリスマス・イヴです。工房にあるラジオのFM放送からクリスマス・ソングが流れていました。私はその雰囲気をラジオでしか味わうことしか出来ず、陶彫の制作サイクルの中に身を委ねていました。可憐な大学院生も修了制作にどっぷり浸かって、クリスマスどころではない状況が垣間見えました。クリスマスはイエス・キリストの生誕を祝う日で、私が30年前に住んでいたオーストリアのウィーンでは、家族でゆっくりと過ごす日とされていました。クリスマスのグッズは市庁舎前に市場が立って、そこで販売していました。先日ベルリンであったトラックによる襲撃事件は、人で賑わうクリスマスの市場であったものでした。市場の楽しい雰囲気を知っている自分にとって、それは許すことの出来ない惨劇でした。イエスの生誕を喜びをもって祝うクリスマスの儀式は、ルーマニアのマラムレシュ県で忘れられない思い出として今も私の心に残っています。あの時は村人たちの祈る姿勢に心打たれました。木造の正教会は今も村に残っているのでしょうか。ガラス絵に描かれたイコンは今もそこにあって村人の接吻を受けているのでしょうか。宗教の違いはあっても、人々が願う家内安全や五穀豊穣、平和な暮らしは世界共通ではないかと思っています。救済を待ち望む人々の上に、一刻も早く安堵できる環境が与えられて欲しいものです。日本でイルミネーションが楽しめるのは安心安全あってのことだなぁと思いつつ、毎年この時期になると外国で出会った敬虔な信者たちに思いを馳せている自分がいます。

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