自己表現の変遷

展覧会へ頻繁に足を運んでいたのは20代の頃で、自分が一体何をしたいのか、美術界ではどんな表現が罷り通り、それの礎になる示唆に自分はどこまで迫れるのか、そんなことをずっと考えていた時期でした。その頃、自分にとって一番解り易かったのは具象表現で、受験時代からやっていたデッサン等をそのまま続けるのが自然の流れでした。それは決して退屈ではなく、その中で充足している自分を認識していました。それでも難解と思われる表現にいつも注目していて、自分なりに現代美術の潮流紛いの試作もしましたが、現象ばかりを追いかけた上っ面の作品であったため、気に入るはずもなく、当時の作品が見つかるたびに羞恥に耐えかねて闇に葬っているのです。滞欧生活からしばらく経って、自己表現に変化が現れました。表現したい欲求が確かなものになって、また技能も追いついてきたと言えます。表現の変遷を経る中で、表現とは意図して起こるものではなく、そこに大きな意図が働いていたとしても、時間の経過の中で緩やかに進むものなのかもしれません。作家としての個人差はあるにしても、少なくても自分には自然な成り行きとして今の表現方法があるのだと思います。

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