週末 華やぐ工房

今日の題名は特別のことではありません。工房にやってくる若いスタッフが与える心地よい影響のことを言っているのです。この時期、季節は三寒四温で体調を崩しがちになりますが、今日は春めいた快適な一日でした。工房は亡父の残してくれた植木畑に建っています。植木が周辺に多くあるというのは、季節ごとに移ろう花が視界に入ってくるのです。今は梅の花が満開です。工房の窓際には梅の大木が数本あって、窓から見える花々に心救われる思いになります。私は朝最寄の駅に着いた若いスタッフを車で迎えに行きます。車は工房に止めておきますが、家内が胡弓や三味線の練習の時は、私が車で練習所まで送っていくのです。家内が工房にやってきて車に乗ったときに「工房は外も内も華やいでいるね。」と言っていました。外は梅の花、内は若いスタッフ2人がいたからです。若いスタッフは2人とも美しい女性です。一人は中国籍のアーティスト、もう一人はインドネシア留学を終えた大学院生で、それぞれ自分の課題をやりにきているのですが、必要とあれば私の作品を手伝います。事情がわかっている家内は他愛のない一言をかけていたのですが、私はこの2人に実は精神的に助けられていることが多いのです。まだ20代で自己表現が定まらない2人にとって、創作活動は自分との闘いで悶々とした苦しさの中にいます。その自分を追い詰めていく空気感が私にも伝播してくるのです。私も自分の制作でボヤボヤしていられない状況になっていきます。張り詰めた空気が工房を支配し、お互い創作感覚が鋭くなっていくのを感じます。これは大変良い効果です。ただし、工房を去るときは私は疲労困憊してしまいますが、彼女たちは至って元気です。外見的には華やぐ工房ですが、内実は負けん気の集中力が炸裂する世界なのです。

関連する投稿

  • 昭和の日は彫刻制作一辺倒 例年ならゴールデンウィークに入り、観光地がごった返しているニュースが流れていますが、今年は新型コロナウイルス感染拡大の影響で、全国に緊急事態宣言が出されていて、外出自粛が呼びかけられています。以前私 […]
  • 週末 創作活動の魔力 涼しかったり、蒸し暑かったり、このところ天候が安定せず、今日も昼過ぎに豪雨がありました。今日は朝から工房に篭って制作三昧でした。在日留学生企画のグループ展を控えている中国籍の子も朝から来ていて、猛烈 […]
  • 週末 活動時間について やっと週末がやってきました。私はいつものように朝9時に工房に行って、夕方4時までの7時間を陶彫制作に費やします。作業が始まると忽ち時間が過ぎていく感覚を持ちますが、創作活動に邁進する7時間は本当に疲 […]
  • 週末 屏風の全体構成考案 「発掘~群塔~」の屏風部分の全体構成を考える時がやってきました。今まで3点の屏風作品を作っていますが、いずれも六曲一隻です。つまり6点の板材を折り曲げて組み合わせているのですが、今回の作品は定型には […]
  • 作品の完成に安堵した日 まさか燃え尽き症候群ではないと思いますが、「発掘~群塔~」は自分にとって心底険しい制作工程だったようで、完成した作品を前にして、少しずつ力が抜けていくのを感じました。昨日の図録用の撮影の時に、工房に […]

Comments are closed.