週末 立体を作っている実感

今日は朝から工房に篭って陶彫成形を行いました。大きなタタラを立ち上げ、紐状にした陶土で補強しながら立体にしていきます。今年の新作は陶彫部品それぞれを直方体にしていくのが基本形態です。重さで歪まないように木片のブロックで抑えながら裏側を紐状の陶土で補っていきます。今日は立体を作っている実感がありました。彫刻家としての満足感がありましたが、陶彫は通常の塑造と異なり、裏側を空洞にするため、常に陶土の厚みを気にしています。焼成で割れないようにするための造作ですが、それでも罅割れが生じることもあります。陶芸のように轆轤を使えば皹割れを少なくすることもできるのでしょうが、陶彫で矩形を作る場合は基本としてタタラを用います。嘗て人体塑造を作っていた時は、土の厚みなど気にすることはありませんでした。陶彫独特の造形方法があることを知り、それ以来厚みに拘り続けているのです。陶彫制作を始めた頃は陶土を薄い板にしていましたが、彫り込み加飾が楽しくなってから陶土は厚めに設定しています。彫り込む部分を計算に入れているのです。今日は陶彫成形を1点作り上げ、途中まで彫り込み加飾を施していました。夕方になって大きなタタラを数枚用意しました。明後日が天皇誕生日で勤務を要しない日なので、ここでまた陶彫成形が出来ると思いました。明後日、さらに陶彫成形を1点加えます。彫り込み加飾はその時まとめて行おうと決めました。今日は気温が上昇し、上着を脱ぎたくなるような陽気になりました。いつものように美大受験生が鉛筆デッサンをやりにきていました。デッサンが上達し、描くことが楽しくなってきたようで、彼女は溌溂と作業をしていました。夕方、車で彼女を送ってから帰宅しました。明後日、また頑張ります。

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