2020年評壇に掲載された寸評より

ビジョン企画より出版されている新報の美術評壇欄に、私の個展の寸評が掲載されました。執筆を手掛けている美術評論家瀧悌三氏は、毎年必ずギャラリーせいほうに来てくださり、メモをされていきます。今回は瀧氏にお会いできずに残念でしたが、芳名帳に瀧氏の記載がありました。どんなことを書いてくださっているのか気になるところでしたが、新報が送られてきて、寸評を読ませていただきました。「陶彫。『発掘』シリーズⅫ。古代遺跡の出土品のような黒褐色のオブジェを創出。今回は床を這うヤマタノオロチみたいな長大物体がメイン。その先端は衝立の壁面を這い登る観。生き物じみている。意外性一杯。続く中品は三角台に角ばったオブジェ3つが乗る情景彫刻。小品は箱型三角柱4体。量の点で言えば、実に精力的な仕事。架空想像の疑似世界ながら。」毎回良い評価をいただいていると私は解釈していますが、今回は陶彫部品の集合体を、神話のヤマタノオロチにイメージを被せていただき、私自身も眼から鱗が落ちました。「生き物じみている。」という批評が「発掘~聚景~」の特徴を物語っているように思います。私の中で少しずつ生命体のような有機的な形態が生まれてきているのは確かで、それは年齢とともに具体的な表出になっているように感じます。もう一方でその不可解な生命体を制御する力も働いています。中品として書いてくださった三角形を基盤とした「発掘~突景~」は、まさに幾何学による形態のコントロールです。「量の点で言えば、実に精力的な仕事。」これが私による自分自身を示す制作姿勢で、焦らず休まず作り続けてきた結果だと自負しています。そんな制作の振り返りを行いながら、寸評の内容を私なりに勝手な分析をいたしました。失礼をお許しください。

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