建築に纏わる東京散策

今日は夏季休暇を取得して、前から計画していた東京の展覧会等の散策に出かけました。先日も夏季休暇を使って「江戸東京たてもの園」に行ったばかりですが、今日も建築に纏わる散策になりました。例年なら夏季休暇をまとめて取得して旅行に出ていますが、コロナ渦の影響で今年は旅行には行かず、近隣を回って楽しんでいるのです。展覧会は東京ステーションギャラリーで開催している「きたれ、バウハウス」展を見てきました。今回は予約制なので自宅近くのコンビニで入場券を2枚購入しました。「きたれ、バウハウス」展は、100年前にドイツに設立された画期的な造形教育を行なったバウハウスの全貌を紹介するもので、私は40年前の滞欧中にバウハウスの資料を集めていました。ドイツ語による分厚い書籍は、今となっては読むことが出来ず、和訳のある書籍をあれこれ買って、バウハウスの教育について多少齧っていました。このNOTE(ブログ)に頻繁に登場するP・クレーやW・カンディンスキーが教壇に立っていた学校だったので、私は当時から興味津々だったのです。バウハウスはバウ(建築)とハウス(家、館)という意味で「すべての造形活動の最終目標は建築である。」(創始者グロピウスの言葉)とある通り、それまでの美術教育とは違う視点でのカリキュラムが組まれていました。詳しい感想は後日改めますが、家内は美大デザイン科出身なので、展示されていたバウハウスの学生たちの課題に、辛かった自分の学生時代を重ねていたようです。日本のデザイン教育にもその影響があった証でしょう。次に私たちが向かったのは池袋にある自由学園明日館で、重要文化財として保護されている学校施設です。設計は巨匠フランク・ロイド・ライトで、その弟子の遠藤新が受け継いで1921年に女学校として設立されました。ライト独特な「草原様式」と呼ばれる平たい校舎と中央に切妻屋根をもつ中央棟ホールが特徴的で、その空間のセンスにただ驚くばかりでした。自由学園明日館の詳しい感想も後日に回したいと思います。池袋駅からそんなに離れていない場所に、こんな建造物があったこともびっくりでした。せっかく池袋まで出てきたので、ジュンク堂書店に立ち寄り、美術関連の書籍を数冊購入してきました。中世イタリアの宗教画家ピエロ・デッラ・フランチェスカの書籍、フランス後期印象派ポール・ゴーギャンの彫刻に注目した研究書など、多少価格は張っても前から読みたいと思っていた書籍だったので、ちょっと楽しみになりました。今日はバウハウスの展覧会とフランク・ロイド・ライト設計による学校建築を見て回り、まさに建築に纏わる東京散策に終始した一日で、私にとっては幸せな時間でした。

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