「つくる」という意味
2018年 10月 19日 金曜日
創作行為は人の持つあらゆる能力を最大限に活用するものだという考えが私にはあります。「つくる」というコトバを漢字にすると「作る」と「造る」と「創る」の3つの漢字が当てはまりますが、いずれも多少意味が異なります。一般的には「作る」という漢字を用います。私も通常、彫刻を作ると書いています。たまに「造る」を用いますが、これは構築物としての意味合いが強くなります。彫刻は立体なので「造る」という漢字を使っても一向に差し支えないと思っています。一般的には建築や庭園や造船の場合に用いているようです。それでは「創る」とはどういう場合を指すのでしょうか。これは新しいモノを作り出す創作行為に他なりません。「創る」はあまりに仰々しい意味になるので、照れくささもあって「創る」という漢字は使い辛いなぁと感じますが、私の作る彫刻は明らかに創るものだと思っています。私の場合、創る行為は最初のイメージを固める時に一番フィットする漢字かなぁと思っています。創作行為の最大の要素は原初的なイメージにあると私が感じているからかもしれません。その後は実材との関わりになりますので、作ると言う漢字がフィットします。私の彫刻は集合彫刻という形態をとっていて、最後にユニットを連結して全体を構成していきます。その行為は作るではなく、創る行為かもしれません。創るは最初と最後だけ、途中の作業は全て作る行為だろうと私は考えています。そういう意味であれば、創る行為は大変な精神的負担と面白さを兼ねていると言えます。まさに創作行為の本領がそこにあるからです。日本語は「つくる」という意味だけでもバリエーションに富んでいて、日本語を学ぶ外国人からすれば難解と受け取られる言語だろうと思います。私が外国人だったなら日本語を学ぶのは御免蒙りたいなぁと思います。
関連する投稿
- ちょこっと休憩 職場から出張先に向かう途中で時間に余裕が出来ると、私はフードコートのような気楽なところで、お茶を飲みながらRECORDを作成したり、読書をするのが大好きです。出張先の会議に使う資料には目もくれず、た […]
- 無意識が関与する創作動機 「たぶん私たちには、知的で芸術的な創作についても、その意識的な性格を極端に過剰評価する傾向があるのだろう。しかし、ゲーテやヘルムホルツのような幾人かのきわめて創作力に富んだ人々の報告から私たちが聞き […]
- 詩作への憧れ 詩は若い頃からよく読んでいて、詩人はどうしてこんなコトバが思いつくものか不思議でした。頭脳の回路が普通ではないのか、コトバを感じ取る能力が優れているのか、ただ文章を綴るだけが好きな自分には到底出来な […]
- 「創作」という魔力 衣食住という人にとって必要なモノは、日々の生活の中では、あたりまえのように獲得していくモノなので、魔術的な魅力を感じにくいと思っています。震災があって、衣食住が確保できない状態では、その必要不可欠性 […]
- 連なる壁のイメージ 「壁体彫刻」というコトバに誘発されて、壁が連なって空間を遮っているイメージが浮かんでいます。壁は一枚板ではなく、部分同士を連結したものであり、何か得体の知れない刻印がされています。それはメカニックな […]
Tags: イメージ, コトバ, 創作
The entry '「つくる」という意味' was posted
on 10月 19th, 2018
and last modified on 10月 22nd, 2018 and is filed under note.
You can follow any responses to this entry through the RSS 2.0 feed.
Both comments and pings are currently closed.