映画「ローマ法王になる日まで」雑感
2017年 6月 20日 火曜日
私が常連になっている橫浜のミニシアターには夜の時間帯に上映するレイトショーがあって、仕事から帰ってから映画を楽しむことが出来るのです。今回観た映画は「ローマ法王になる日まで」という実在の人物を扱った映画でした。これは単なる立身出世のドキュメンタリーではなく、制作スタッフが法王の若かりし頃の行動を現地で丹念に調べ上げた探求の成果であろうと思いました。監督のインタビューに「多くの素材をもとにした解釈」「現実と架空のあり得る要素のミックス」という言葉があります。また人々の中には法王を「仮面を被った保守主義者」や「見た目ほど革新的な人物ではない」という評もあって、法王の人物像に迫るのに大変な苦労を伴ったことが垣間見れます。第266代ローマ法王フランシスコは、アルゼンチン出身の異色の人で、彼ベルゴリオが軍事政権の中で司祭として不当な仕打ちを受けたり、貧困と寄り添う状況が、映画では危機感をもって迫ってきます。時に政府に苦言を呈し、立ち退き住民と市との交渉役をしたり、現実と架空が入り交じる映画ではあるけれども、ベルゴリオの憤りはリアルに伝わってきました。映画のパンフレットから言葉を引用いたします。「本作は、いかにも英雄として彼を描き出すことはしない。自分の無力さに打ちのめされ、時に信条に反して仲間を説得し、怒りに震えて嗚咽を漏らすベルゴリオの姿や息遣いを、等身大の人間としてリアルに映し出す。それによって我々は、遠い国の過去の出来事としてではなく、非常にエモーショナルに彼が生きた時代を追体験させられることになる。」
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