木彫の面白みを引き出すために…

「発掘~群塔~」は、うねる大地に点在する数々の塔を表現しようと意図したもので、大地の部分は木彫彩色で表そうと考えています。緩やかな曲面を彫り跡を残して浮き彫りし、ひとつは屏風に、ひとつは床置きにする予定です。木彫は作業を始めると次第に面白くなってくる技法で、木の持つ美しさに惹かれてしまいます。ただし、陶彫のモデリングとは大きく技法が異なるため、気持ちを切り替えて臨む必要があります。木彫の意識を持つために橫浜そごう美術館で開催されている「円空・木喰展」に先日行ってきたのでした。円空や木喰の粗彫りされた仏像を見ていると、木彫に対する意欲が湧いてきます。彫り跡が何とも美しく眼で撫でるように鑑賞してきました。削ぎ落としていく美学がそこに在りました。また陶土による塑造は膨らませていく美学が在ります。自分の作品は陶彫(モデリング)と木彫(カービング)を併用する場合が多いので、双方の技法から求めるカタチを探り出し、統一感をもってひとつの作品にまとめ上げるのです。円空仏や木喰仏を木彫の面白みを引き出すツールにして、来週からの彫る作業に弾みとつけたいと思います。

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