勤務後の名作鑑賞

美術館や博物館が金曜日だけは夜8時まで開館していることを大変嬉しく思っています。仕事帰りに立ち寄って、古今東西の名作を味わえる喜びがあるからです。勤務地である橫浜の郊外から東京の中心地まで出向くのはちょっと辛いですが、それでも展覧会に行けば疲れを癒やされます。おまけに金曜日は週末前で気持ちが楽になるため鑑賞はワクワク感で一杯です。今日も橫浜から東京上野の国立博物館に「日本国宝展」を見に出かけました。国立博物館に到着したのは夜7時を回っていましたが、かなり混雑していて驚きました。週末の昼間はどのくらいの鑑賞者が訪れているのでしょうか。展覧会場では人を掻き分けて名作の数々を味わいました。どんなに混んでいても周囲が気にならなくなるような感覚が生まれ、自分が作品に同化するような錯覚がありました。これは制作の時も同じような気分になる瞬間があります。素材との対話と自分は言っていますが、鑑賞でも作品との対話があると思っています。土偶や仏像を見ていると、暫し時間を忘れ、空間を忘れ、心が空っぽになって不思議な境地になるのです。視覚情報は自分の五感を揺さぶり、自分に何かを刻み込んでしまいます。感動は静かにやってきて立ち去ることがないと自分は思っています。煌く感動は忽ち失せてしまうのですが、静寂を伴う感動は繰り返し蘇り、自分の中に蓄積されていくと感じています。そんな思いがしたひと時でした。作品ごとの詳しい感想は後日に改めます。

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