画家J・フォートリエについて

先日、東京ステーションギャラリーで開催されている「ジャン・フォートリエ展」に行ってきました。フォートリエと聞くと自分はアンフォルメルを代表する画家として、ペインティングナイフで厚塗りした非対象絵画を思い起こします。第二次大戦後の不安定な社会情勢を表現した数多い絵画のうち「人質」と題されたシリーズは学生時代に美術雑誌で見た記憶があります。まとまった展覧会は今回が初めてと聞いて、フォートリエの全貌が知りたいと思い、東京駅まで足を運びました。かつてフォートリエは南画廊で個展をした経歴がありますが、その頃の自分はまだ現代美術を理解するには幼過ぎました。フォートリエは厳密な具象から出発して、やがて形態が消え、そのうち絵の具の素材そのものを取り込んだ非定型な絵画に辿り着きます。自分は壁のようになった絵の具の肌合いが大変美しいと感じました。東京ステーションギャラリーの古い煉瓦壁を使った展示場が、フォートリエの絵画に風合いを与え、こうした空間で鑑賞できる幸福感を味わいました。

関連する投稿

  • 週末 久しぶりに東京の美術館に… 大学の先輩で銅版画をやっている人が、東京銀座で個展をやっています。その人の娘さんが漆工芸をやっていて、彼女も東京銀座の別の画廊で個展をやっています。親子とも同じ時期に個展を開催しているので、週末を利 […]
  • 振替を利用して案内状持参 先日の関西出張の折に超過勤務時間が発生し、その振替を今日の午後に取ることにしました。昨日、工房に案内状が1500枚届いたので、早速今日の午後の時間を使って、東京銀座のギャラリーせいほうに案内状100 […]
  • 週末 個展終了して美術館巡りへ 昨日、ギャラリーせいほうでの私の個展が終了しました。反省はいろいろありますが、ともあれホッとしたことは事実です。個展開催中は自分が会場にいなくても気がかりでなりませんでした。やはり終わってみると一抹 […]
  • 秋分の日は美術館・画廊を散策 今日は秋分の日でした。職場は週休2日なので、連休の実感はありませんでしたが、このところ秋の気配を感じているのは確かです。今日は早朝に工房に行って、明日の陶彫成形のために大きなタタラを7枚作りました。 […]
  • 週末 制作開始&鑑賞 個展閉幕から一夜明けて、今日から新作の制作を開始しました。自分は個展の余韻に浸ることを敢えてやりません。振り返らず進んでいこうとする姿勢を自分の信条としているためで、間髪を要れず矢継ぎ早に作り続け、 […]

Comments are closed.