イメージを育てる

新たなイメージはどこからやってくるのでしょうか。現在の作品制作が佳境に入った時に、うまくいったり、悩んだりしている状況の中で、ふと湧いてくる現行とはまるで異なるイメージがあります。現行の作品に集中しているにも関わらず、浮気でもするように新たなイメージは心を捉えて離れないのです。以前なら慌てて心のイメージを紙に描き留めていましたが、今はそんなことはしていません。忘れてしまうようなイメージなら、忘れてもいいと考えています。忘れられないイメージは紙に描き留めなくても、しっかり頭の中に刻まれてしまいます。そんなイメージを何度も思い返して、具現化するためにいよいよ動き出すことになります。そんな中でイメージに修正を加えながら頭の中でイメージを育てていきます。ふと湧いたイメージ、どこか天上から降りたつイメージ、それは最終的なカタチではなく、あまりにも漠然としているイメージです。それは何ものなのか、意志を介入せずにやってくるモノとでも言ったらいいのか、哲学的な論拠に従えば、そこから自己意志をもって作品の意図を考え、ギャラリーの具体的な空間を見据え、発表形態を決める作業に移るのです。イメージを育てるのは、そんな過程の中にあって、徐々に明快なカタチに変貌させていくものと考えます。

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