横浜の「下村観山展」
2014年 1月 4日 土曜日
今日は朝から工房に篭って制作三昧でした。少しずつ調子も上がり、休庁期間の残り2日間を有効に過ごしたいと思っています。夕方まで作業を精一杯行い、その後は家内と車で地元の横浜美術館に出かけました。現在「下村観山展」を開催していて、前から見たいと思っていたのでした。下村観山は晩年、横浜の実業家原三渓の知遇を得て、横浜本牧に移り住んだことは知っていましたが、観山ワールドの全貌を知らずにいたので、今回の大回顧展は楽しみでした。東京国立近代美術館で「木の間の秋」を見たことがあって、その描写に眼が吸い寄せられた記憶があります。「古格を愛し、温雅で内省的、謹厳淳朴な生き方を選んだ画家」と図録の解説にある下村観山は、革新を求めつつ復古的傾向を示す画風で知られるようになったようです。自分の感想で言えば、画題がどうであれ、描画の緻密さ確かさは眼を見張るものがあると思いました。ヨーロッパ留学時代に模写したラファエロやダ・ヴィンチにも水彩模写とは思えない完成度があります。古画が念頭にありつつも西洋の陰影法をもって描き出される新しい日本画の境地に今後どう向き合うのか、実はその答えを見つけるには、享年57歳で没した下村観山は早すぎた生涯と言えるのではないでしょうか。夭逝でもなく長寿でもなかった下村観山ですが、抱えた課題に答えを出すのには57歳では短かったように自分には思えるのです。最後に自分が印象に残った作品を挙げます。いずれも大作が多いのですが、「元禄美人図」(双方とも)「小倉山」「鵜図」「手向」「老松白藤図」です。家内は「四眠」を挙げていました。龍が熟睡している様子が何ともいえないと言っています。
関連する投稿
- 京都の「高橋秀」展 2泊3日の関西出張の2日目です。仕事の合間に平安神宮の近くにある京都市美術館で開催されている「高橋秀 […]
- 「シャガール」展 夢と前衛 先日、東京上野にある東京芸大美術館で開催されている「シャガール」展を見てきました。副題に「ロシア・アヴァンギャルドとの出会い~交錯する夢と前衛~」とあるように、展示内容はシャガールの絵画だけでなく、 […]
- 「礒江毅 グスタボ イソエ」展 先日、東京練馬にある区美術館で表題の展覧会を見てきました。礒江毅は2007年に53歳で世を去った夭逝の画家です。礒江毅は1954年生まれ、私は1956年生まれですからほとんど同世代なので、自分として […]
- 「パウル・クレー 東洋への夢」 表題の展覧会は、静岡県立美術館で開催されているもので、知人からチケットをいただいたので行ってきました。クレーはたびたびブログに書いている画家で、この巨匠に関する興味はずっと尽きません。自分は20代前 […]
- 幻想画家論 ボッス、グリューネウァルト、ピエロ・ディ・コジモ、ラ・トゥール、ルドン、ゴーギャン、アンソール、ムンク、スーティン、クレー、エルンスト、デュシャン…「瀧口修造全集1」に収められている幻想画家論で取り […]
Tags: 展覧会, 散策, 画家, 留学
The entry '横浜の「下村観山展」' was posted
on 1月 4th, 2014
and is filed under note.
You can follow any responses to this entry through the RSS 2.0 feed.
Both comments and pings are currently closed.