「悲劇の誕生」読後感
2013年 11月 19日 火曜日
「悲劇の誕生」(ニーチェ著 秋山英夫訳 岩波書店)を全て読んだところで、ニーチェとはどんな人物だったのか、ニーチェにとって哲学とは何だったのかと知りたいと思うようになりました。「悲劇の誕生」は体系的な学問と言うより、むしろ散文を読んでいるような感覚を持つのは私だけでしょうか。自由記述的で魅力的な言い回しは、天性なのか、敢えて豊富な知識の中から掻い摘んで個性的な表現をしているのか定かでないところが散見されます。面白さで言ったらこれほど面白い哲学的読み物はないと思います。これが学問としての文献学的体裁を作っているものではないと、他書からの情報にありましたが、自分も同じ感想を持ちました。ただ、全てがニーチェ流解釈で進んでいく本書は比類ないものであることは疑う余地はありません。本書が出版された当時、学者達からは黙殺され、また相当な批判を浴びたことは自分も頷けるようになりました。ただ、ニーチェの問題提起力は物凄いパワーがあって自分も惹きこまれてしまいました。今流行りの暴露本のようにも思えてきます。これが24歳の処女作であれば、晩年の「ツラトゥストラはかく語りき」はどんな内容なのか、これもいずれ読んでみたいと思っています。ニーチェは継続して読むことは避けようと思います。放射するパワーを自分の中で一旦保留して仕切り直しをしたいと思います。
関連する投稿
- 「絵の証言」を読み始める 「絵の証言」(佃堅輔著 […]
- 週末 梱包作業&美術館鑑賞 今日は梅雨らしい鬱々とした天気でした。午前中は昨日から続いている作品の梱包作業をやっていました。今日は若いスタッフが2人朝から来ていて、それぞれ制作に励んでいましたが、10時半頃スタッフ2人と家内を […]
- ドイツ表現派に纏わる雑感 現在、通勤中に読んでいる「触れ合う造形」(佃堅輔著 西田書店)と、職場に持ち込んで休憩中に読んでいる「見えないものを見る カンディンスキー論」(ミシェル・アンリ著 青木研二訳 […]
- ボイス世界観の再考 先日見に行った「ヨーゼフ・ボイス展」が契機になり、改めてボイスの世界観を考えてみたいと思います。ボイスに関することは過去何回かNOTE(ブログ)にアップしていますので、今回は再考とさせていただきまし […]
- 西欧思想に於ける芸術の意味 現在読んでいる「芸術の摂理」(柴辻政彦・米澤有恒著 […]
Tags: ドイツ, 書籍, 芸術家
The entry '「悲劇の誕生」読後感' was posted
on 11月 19th, 2013
and last modified on 11月 19th, 2013 and is filed under note.
You can follow any responses to this entry through the RSS 2.0 feed.
Both comments and pings are currently closed.