「絵の証言」を読み始める
2018年 1月 16日 火曜日
「絵の証言」(佃堅輔著 西田書店)を読み始めました。副題に「ドイツ語圏に生きた芸術家たち」とあって、まさに私が若い頃から注目していた芸術家ばかりが掲載されている書籍です。本書では23名の芸術家を取り上げていますが、その中にはヨーロッパでしか知られていない芸術家も含まれています。頁を捲るとシーレやムンクから始まり、最後はハウズナーまで網羅されています。ルードルフ・ハウズナーは私が30数年前に在籍していたウィーン美術アカデミーの教壇にたっておられました。ハウズナーはウィーン幻想派の旗手で、何人もの日本人が彼の教室で学んでいます。私が知らなかったレヴィン、ラジィヴィル、ネッシュ等はどんな芸術家だったのか興味津々です。こうした芸術家が日本で知られる機会は滅多にないと思っています。とくにドイツ語圏の国々は第二次大戦でナチスドイツの台頭があり、ホロコーストがありました。芸術家の中にはユダヤ系の人も含まれているので、その生涯を賭けた創作活動がいかなるものであったか、また政治に翻弄されて命を落とした人もいたでしょう。現在ではその時代の空気を感覚として読み取ることは出来ませんが、世界情勢が不安定になりつつある現状で、もう一度彼らの芸術的主張を確かめることは有意義であろうと考えます。本書を通勤の友としてじっくり読んでいこうと思います。
関連する投稿
- ドイツ表現派に纏わる雑感 現在、通勤中に読んでいる「触れ合う造形」(佃堅輔著 西田書店)と、職場に持ち込んで休憩中に読んでいる「見えないものを見る カンディンスキー論」(ミシェル・アンリ著 青木研二訳 […]
- 西欧思想に於ける芸術の意味 現在読んでいる「芸術の摂理」(柴辻政彦・米澤有恒著 […]
- 週末 梱包作業&美術館鑑賞 今日は梅雨らしい鬱々とした天気でした。午前中は昨日から続いている作品の梱包作業をやっていました。今日は若いスタッフが2人朝から来ていて、それぞれ制作に励んでいましたが、10時半頃スタッフ2人と家内を […]
- 「種村李弘の眼 迷宮の美術家たち」展 先日、東京の西高島平にある板橋区立美術館に行き、表記の展覧会を見てきました。故人である種村季弘は、私が滞欧中に親しんだウィーン幻想絵画を取り挙げた文学者で、深層心理に働きかけをするドイツ・オーストリ […]
- ボイス世界観の再考 先日見に行った「ヨーゼフ・ボイス展」が契機になり、改めてボイスの世界観を考えてみたいと思います。ボイスに関することは過去何回かNOTE(ブログ)にアップしていますので、今回は再考とさせていただきまし […]
Tags: ドイツ, 書籍, 芸術家
The entry '「絵の証言」を読み始める' was posted
on 1月 16th, 2018
and is filed under note.
You can follow any responses to this entry through the RSS 2.0 feed.
Both comments and pings are currently closed.