渋谷の「レオナール・フジタ 藤田嗣治展」

藤田嗣治(レオナール・フジタ)の画業は何回かNOTE(ブログ)で取り上げていますが、東京渋谷にあるBunkamuraザ・ミュージアムで開催されていた「レオナール・フジタ 藤田嗣治展」に先日行ってきました。乳白色の肌をもつ裸婦の絵画を見ると、西洋画に東洋的な微妙で細密な表現を入れたフジタ特有の世界が広がって、当時のパリ画壇で人気を博した要因がよく伝わってきます。今回の展覧会で面白かったのが子どもをテーマとする作品群で、とくに「小さな職人たち」と称するタイル状のシリーズは、楽しく且つ下町風情の溢れる素敵な作品だと感じました。絵画のモティーフにしたい職業の数々、貧しいけれど懸命に働く人々を、子どもが演じる楽しさがありますが、実際に当時は年齢のいかない子どもが働いている場面もあったのかもしれません。もうひとつはフジタのアトリエにあった建築模型で、アトリエの室内を丹念に作り上げた楽しい立体作品です。小さな白い壁と石段や台所が西洋的情緒を醸し出していました。写真家土門拳等によるフジタの生活を写した写真も楽しめました。ともかく楽しさ満載の展覧会で、週末に相応しい時間を過ごすことができました。

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