「一銭五厘の旗」を読み始める

「一銭五厘の旗」(花森安治著 暮しの手帖社)は今夏、東京世田谷美術館で開催されていた「花森安治展」を見に行った際、そこに掲げられていた詩に感動して購入したものです。画家としての花森安治は、雑誌「暮しの手帖」の表紙を描き続け、人気雑誌だった同誌の看板となっていたのでした。その表現は多義に亘り、時系列で追った展示はユーモアに溢れて、また継続しながら深化していった画業が羨ましくもありました。本書は戦時中、召集令状の葉書が一銭五厘で届いたため、命の重さを一銭五厘として、戦中戦後の思いを書き綴った随筆であり、また詩のような珠玉の世界観を持つ文章をまとめたものです。作者は編集長として「暮しの手帖」に携わっていました。同誌は絵画や文章を通して時代を反映し、将来を見据えた羅針盤のように感じられます。夥しい情報雑誌が書店の店頭に並ぶ現状を見ると、同誌の水準の高さが窺えます。

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