銅版画への憧れ

学生時代、自分はドイツ表現派の色濃い木版画に夢中になっていて銅版画をきちんとやらずに卒業してしまいました。当時、銅版画を制作していた後輩の技法的なアイディアが気に入って、いつかそのアイディアで自分も作品を作りたいと言ったら、後輩は快く了解してくれました。いつぞやのNOTE(ブログ)に書きましたが、工房にエッチングプレス機が置いてあります。古いプレス機を頂いた時に修理にも出し、いつでも版画が刷れる状態になっています。銅版画に対するイメージは、20代後半にウィーンで暮らしていた頃、ギャラリーや書店のウィンドゥを飾っていたウィーン幻想派の銅版画の数々が今だ鮮やかに記憶に残っていて、その精巧な世界から自分なりの発想が生まれ、技法的にも前述したアイディアを凝らして画面構築をしようと思っています。大学の先輩に優れた銅版画家がいて、助言が受けられる環境にあるのも銅版画制作へ自分が掻き立てられる要因です。またRECORDで試みているテーマで銅版画に作り直せるものが結構あるように思えます。必要なのは時間的な余裕だけですが、これが今のところ一番の問題なのです。結局、定年を待たないと無理かもしれず、銅版画に対する憧れは増すばかりです。

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