岡本太郎美術館「記憶の島」展

先日、久しぶりに川崎市の生田緑地にある岡本太郎美術館に行きました。駐車場から川崎民家園の前を通って一番奥まった美術館まで歩くうちに休憩をとりたくなり、まず美術館のカフェに入りました。いつぞやのテレビで紹介されていた岡本太郎を表現した「太陽のパルフェ」というスイーツを食べ、今回の目的である「記憶の島」展を見ました。民俗学者宮本常一は日本各地を訪ね、農業を初めとする人々の営みを写真に残し、伝承された文化遺産の調査保存に努めてきた人です。企画展では岡本太郎の土俗的風習を捉えた写真を同時に並べ、2人の視点から日本の原風景を浮かび上がらせるものになっていました。会場には五穀豊穣を願う藁人形や祭礼に使うお面なども展示されていました。そうした土俗的なものに自分は非常に惹かれます。かつては農村や漁村で培った地域特有の風習がありました。私が生まれ育った横浜でも祖祖父や祖父の代に田畑を開墾し、秋には家の軒先で脱穀機を回す風景が見られました。そんな自分の幼児体験があって、自分の中に土俗的な趣向が根を下ろしているのかもしれません。今回の展示を見て懐かしく思えるものばかりではなく、自分がこの世に生を受けていない頃の素朴な日本の風景にも接することができました。失われた風習が多い中で、日本人としての原風景を考えさせられた展覧会でした。

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