夢に現れる壁のイメージ

最近見た夢の話です。どこか美術系大学の敷地の片隅のような場所に自分の作品が置いてありました。コンクリートの建物の庇の下にちょっとしたスペースがあって、そこにシートで覆われた巨大な直方体がありました。シートを取り除くと、壁の一部を切り取ったような作品が現れました。素材は石なのか木なのか鉄なのか認識はできませんが、機械の一部のような彫り込みがあって、それは確かに彫刻でした。作りかけの作品は、自分の意欲を掻き立て、そこに留まらせてくれないパワーを放射していました。完成を願っても完成を許さない造形。今一歩のところで作り込みを拒否する造形。そんな作品が夢の中に現れています。イメージの源泉はどこから来るものでしょうか。現在取り組んでいる新作屏風にも通じるものがあるのでしょうか。連なる壁のイメージは度々自分の頭の中に登場してきます。自分は、それだからといってそのイメージをエスキースとして描き留めることはしていません。頭の中を自由に去来できるようにしているのです。そのうちイメージが熟してカタチとして具現化する時がくると信じています。

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