「村上隆の五百羅漢図展」雑感
2016年 3月 3日 木曜日
先日、勤務時間終了後に東京六本木ヒルズまで出かけていき、森美術館で開催中の「村上隆の五百羅漢図展」を見てきました。相原工房に出入りしている若いスタッフがアルバイトで五百羅漢図制作に関わったことが、村上ワールドを身近に感じさせた要因で、自分も国際舞台で活躍する芸術家の作品を一度実物で堪能してみようと思ったのでした。派手な色彩と華美な装飾に彩られた巨大な平面作品を見ると、パワフルでユーモア溢れる独特な世界観が立ち現れていて、天を突き破るような面白さがありました。図録によると伝統美術の中で村上隆は「奇想の系譜に自らを位置づける」ことをしたのであり、「日本の伝統絵画からアニメなどのおたく文化まで、日本美術の視覚表現に通じる平面性を、階級のない戦後日本の文化的在りようや社会学的文脈とも連関させながら概念化した、よく知られる『スーパーフラット』論」を展開したのでした。作品のもつ壮大な雰囲気を感じとりつつ、世代の近い制作者の一人として私は、各作品にかける労力の凄さや厳しさを同時に感じとってしまいました。「全国の美大から参加希望者を募り、スタジオスタッフと合わせて200人以上が24時間態勢で制作にあたった。」と図録にある通り、工房システムを活用し、短期間で完成させるプロジェクトは、現代のルーベンスのようであり、個人でコツコツ作品を作っている私に比べれば、会社組織を作って大々的に創作を展開するパフォーマンスに羨ましさを感じずにはいられません。芸術で起業できた一握りの造形作家、そんなことも展覧会を見て頭を過ぎっていきました。
関連する投稿
- 創作一本になった4月を振り返る 今日は4月の最終日なので、今月の制作を振り返ってみたいと思います。今月の大きな出来事は、長年続いた教職公務員との二足の草鞋生活にピリオドを打って、創作活動一本になったことです。これは自分の生涯の転機 […]
- 春分の日 制作&散策 ウィークディの真ん中に休日があるのは、創作活動をする上で大変助かります。とりわけ陶彫は乾燥具合を見て作業を進めていくので、水曜日はタイミングとしては最高です。今日は朝から雪が降っていました。春分の日 […]
- 週末 土台作り&美術館散策 週末になりました。新型コロナウイルス感染症で緊急事態宣言が出ているにも関わらず、気持ちのモチベーションを保ちたくて、今日は地元にある横浜美術館へ出かけてしまいました。早朝は工房に行き、新作の土台作り […]
- 週末 今月最後の制作日 早いもので1月がもう終わろうとしています。今日は1月最後の週末で一日中制作が出来るのは今日しかありません。週末土日のうち私は日曜日の方が気持ちよく制作が出来ます。土曜日はウィークディの疲れがあって身 […]
- 9月は陶彫一辺倒 9月になりました。秋の気配が待ち遠しいこの頃です。創作活動は涼しくなる秋が一番向いていると思っています。今月は先月の陶彫成形の遅れを取り戻したいと考えています。先月の目標だった大きい陶彫6点のうち出 […]
Tags: 創作, 展覧会, 工房
The entry '「村上隆の五百羅漢図展」雑感' was posted
on 3月 3rd, 2016
and last modified on 3月 4th, 2016 and is filed under note.
You can follow any responses to this entry through the RSS 2.0 feed.
Both comments and pings are currently closed.