横浜の「辻村寿三郎人形展」
2012年 10月 19日 金曜日
人形師辻村寿三郎はNHKドラマ「新八犬伝」に登場していた個性的な人形によって知りました。当時自分は高校生だったように記憶していますが、夕方放映のTV人形劇に熱中していました。美術を専門とする道に進んだ後も、辻村ワールドに機会あるごとに触れて、とりわけ衣裳の絢爛たる豪奢さと人形の情念のある風貌に目を奪われました。今回、地元横浜のデパートで開催される「辻村寿三郎人形展」は平家物語をテーマにしています。さっそく勤務終了後に時間を作って出かけました。何しろ職場から横浜駅まで歩いていけるので、帰りがけに立ち寄ることが可能なのです。作家は現在79歳ですが、その奔放な制作意欲と枯れることのない表現力に頭が下がりました。おどろおどろしい平清盛とそれを取り囲む群像。布地の渋い美しさ。魂を感じる人形のポーズ。彫刻とはひと味もふた味も違う世界ですが、心にダイレクトに働きかけてくるドラマ性と演じている人物のデフォルメされた面白さは、人形ならではのエスプリに富んだ世界です。平家物語の他に人形による仏像や十二支もあって充分楽しめる展示内容でした。
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Tags: 展覧会, 散策
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