久しぶりに北斎漫画

久しぶりに北斎漫画全三巻(岩崎美術社)を見ています。たしか北斎漫画がまとまって発売された時に、どうしても欲しくなって購入した記憶があります。随分前のことで全三巻がダンボール製の箱に入っていました。箱は黄ばんでしまって、書籍も古くなっていますが、購入した当時のまま書棚に仕舞い込んでいました。あの頃は頁を捲っては感嘆していました。書棚から取り出し埃を叩いて、久しぶりに北斎漫画を堪能しています。この北斎漫画と鳥獣戯画は自分にとって日本美術史上最高の傑作と思っているのです。北斎漫画と鳥獣戯画のことを自分は「線描二大巨頭」と呼んでいます。または「線のバイブル」、「描写 虎の巻」とも勝手に名付けています。毛筆によるタッチの抑揚は、現代の劇画世代をも魅了すると自分は思います。手馴れた線、カタチを表すために立ち止まる線、素早く一気に走る線、雄弁な線、無言で沈黙する線、どれをとっても豊かな表情をもって描かれています。これは洋の東西を問わず突出した作品集であるのは間違いありません。

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