映画「キングダム」雑感
2019年 5月 7日 火曜日
大型連休を利用してエンターティメント系の映画館に出かけ、映画「キングダム」を観てきました。工房に来ていた美大生は「漫画を原作にした実写版映画は、結構コケることが多いんですよ。」と言っていましたが、「キングダム」はなかなかどうしてクオリティの高い作品に仕上がっていると私は感じました。映画を観るまであまり期待をしていなかったのは事実ですが、広大な中国でのロケや兵士や騎馬による大規模な編成など、漫画の世界観を余すところなく描き切っていて、ハリウッド映画に見られるような鬼気迫る凄まじいアクションも盛り込まれていました。物語は中国の紀元前にあった春秋戦国時代で、7つの強国が犇めいていた背景があり、やがて秦が中華統一を果たすまでの経緯を描いています。主人公は戦災孤児だった進と秦の始皇帝になる政で、この2人の立身出世が物語の中核を成しています。原作者で漫画家の原秦久氏は、中国の歴史書「史記」を基に、史実とフィクションのバランスをうまく取りながら物語を作っていることが伺えて、始皇帝研究の学者からのメッセージも図録に掲載されていました。映画の中心は政の弟が反乱を起こし、王宮を我がものにしていたことに対し、進や政たちが王宮奪還を成し遂げるまでを描いていました。50数巻が既刊されている漫画からすれば、まだ導入部分といったところですが、今後続編はあるのでしょうか。それぞれの俳優が肉体改造をして、力の籠った演技をしていたので、ぜひこの壮大な歴史絵巻をこのまま続けてほしいと願っています。日本のアクション映画の水準を測り見るような思いを持ったのは私だけではないはずです。
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