週末 「構築~視座~」の彩色

今年の7月個展には2点の大きな作品を出品する予定です。目玉は複数の陶彫部品で構成する「発掘~盤景~」ですが、もうひとつは木彫のみで作った「構築~視座~」です。この作品はテーブル彫刻で、楕円状の卓を4本の木彫した柱で支えています。4本の柱は木彫の鑿跡をそのまま残し、一本一本が蔓のように若干捻りを入れたカタチをしています。大地に這うように構成した「発掘~盤景~」に対し、「構築~視座~」は浮揚感を出してみようと狙った形態です。楕円状の卓には曲線の文様が彫り込んであり、軽くフワっとした感じも出せたらいいなぁと思っています。今日は卓の部分に油絵の具で彩色を施しました。砂マチエールで覆った「発掘~盤景~」の円形土台にも油絵の具の彩色を予定していますが、一足早く「構築~視座~」に色彩を持ち込みました。これは絵画的な作業で、今までも旧作では多用している方法です。私は彫刻としての構造と絵画としての表面処理を併用していて、その双方を空間演出として扱っているのです。今日は朝から2人の美大受験生が来ていたため、「構築~視座~」の彩色は野外で行いました。工事用シートをコンクリートの床面に敷いて、文様を彫り込んだ卓を置きました。絵の具を丹念に塗りましたが、太陽の日差しが強い中で行った作業は、なかなか厳しいものがありました。普段から野外で制作しているなら気候に慣れているかもしれませんんが、私は屋内での制作が中心なので、直接陽射しを受けることは今までありませんでした。今日は好天に恵まれ、風も少ないことから野外制作に踏み切りましたが、野外にいるだけで結構疲れてしまいました。野外制作はこれだけにして、残りの部分は何とか屋内で出来るように工夫をしていくつもりです。図録用の撮影日まで残り7日間、来週の日曜日までは連日制作していくつもりでいます。

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